2012年5月28日9:30
「NFCビジネス完全ガイド」の見どころを紹介(1)
TIプランニングでは、2012年6月1日に「NFCビジネス完全ガイド」を発行する。ここでは、2日に分けてその見どころを紹介する。
「NFC(Near Field Communication)」は、ソニーとNXPセミコンダクターズ(旧フィリップス)が共同開発した近距離無線通信の国際仕様である。第一章では、開発の背景や「NFC-IP1(ISO/IEC18092)」と「NFC IP-2(ISO/IEC 21418)」の概要、「NDEF(NFC Data Exchange Format)」、ピアtoピアおよびカード・エミュレーションとリーダライタ・エミュレーションなどについて解説している。
NFCの技術仕様とテスト仕様の策定、普及啓蒙活動を行う業界団体が「NFCフォーラム」だ。2章では、NFCフォーラムの役割、3つの委員会、会員区分、リエゾン、「Nマーク」および「NFC Forum Certification Mark」、「1st Certification Wave」による認定試験プログラム等について説明している。
3章では、日本人として、同フォーラムのチェアマン(議長)を務める田川晃一氏に、最新の活動状況および今後の取り組みについて説明してもらった。NFCフォーラムでは、第一世代の規格をもとに「1st Certification Wave」による認証試験プログラムをスタートさせている。現在、第二世代の規格を取り込んだ「2nd Certification Wave」の認定プログラムが最終段階に入っている。また、最後のピースを埋めるRFアナログ仕様も2012年中に提供の予定だ。
4章では、NFCビジネスの構造について簡単に説明している。また、普及予測も行った。NFCビジネスでは、NFCチップや「セキュア・エレメント」のスマートフォンや携帯電話への搭載、アプリケーションの展開においては、「TSM(Trusted Service Manager)」が重要な役割を果たしている。例えば、セキュア・エレメントの実装についてもSIMカード、SDカード、内蔵型など、さまざまな搭載方法がある。また、TSMには、ICチップのメモリ領域を管理する「MNO-TSM」とサービス事業者がアプリケーションを開発するための役割となる「SP-TSM」がある。その構造をおサイフケータイとの比較などから説明する。
5章では、決済やポイント/会員証、デジタル家電、ヘルスケア、見守り、家庭、車載など、NFC技術を適用したアプリケーションについて紹介した。国内は、おサイフケータイの経験からアプリケーションの開発で先行しているが、NFCによるさらなる裾野の広がりが期待されている。
6章では携帯キャリアの動向を紹介する。世界では、数多くの商用化に向けたトライアルが行われ、各国でジョイントベンチャーも設立されているが、日本はモバイルを利用した非接触サービスにおいて世界でもっとも進んだ国であることは間違いない。国内では、2008年にソフトバンクとKDDIがNFCの実証実験を実施。その後もカード会社等と連携し、運用面を含めた検証が継続され、2012年にKDDIがいち早く商用サービスの開始を発表している。また、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは、日本におけるモバイル非接触ICサービスのさらなる拡大を目的として、「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を2011年12月21日に設立し、利用環境の整備などについて協議している。
7章以降の見どころは5月29日に掲載する予定だ。