2013年4月15日8:00
「ケータイ国盗り合戦」で商店街全体の集客と購買に貢献
日常のあらゆる行動を創出するO2Oプラットフォーム「Starmp」を開発
マピオンの展開する「ケータイ国盗り合戦」は、ユーザーが戦国武将となり、全国各地へ実際に出かけた際の位置情報履歴を、制覇した国数という形でコレクションするモバイル位置情報ゲームである。他業種とタイアップする「O2O(Online to Offline)」ビジネスの成功事例として注目を集めているが、地域活性化に向けた取り組みも展開。港区や墨田区と連携したモバイルスタンプラリーのイベントでは地域全体の活性化につながるなど、集客と購買で高い成果を上げたという。
商店街コラボイベントは13万人を動員し、売上も4,000万円を突破
店舗に合わせ3段階のレベル分けを行い、誘導に成功
マピオンでは、東京都の墨田区商店街連合会および港区商店街連合会の提供により、1月17日~2月18日に両区商店街で、商店街全体の活性化を目的としたイベント『2大タワーを取り戻せ!』を開催した。
商店街の各店舗をまわるスタンプラリーは、東京都墨田区および港区内の商店街(55スポット)、東京タワー、東京スカイツリーの計57スポットを設置。また、ケータイ国盗り合戦の「くにふだ」がもらえる対象店舗は、東京都墨田区および港区内の商店街にある店舗全431店となった。
その結果、約1カ月間の開催でのべ13万人を動員。店舗の売上も4,000万円を超えた。マピオン O2O事業部 事業部長 ケータイ国盗り合戦 エグゼクティブプロデューサー 加藤隆志氏は、「スタンプラリーの施策は昔から商店街で行われてきましたが、今回は単なる誘導だけではなく、お買い物につなげられたことが成果となりました」と笑顔を見せる。
顧客にとって馴染みのある商店街であれば買い物をしやすいが、全く知らない商店街で購買を行うのは一気に敷居が上がる。また、顧客が購入しやすい立地や商品であればまだしも、なかなか足を運びづらい店舗もあったという。
その対策として、同イベントでは、アイテムを獲得できる紙のカード「くにふだ」自体に3段階にレベル分けを行った。消費者が足を運びづらい店舗は高いレベルを設定することにより送客を実施。その結果、墨田区の銭湯「薬師湯」にはケータイ国盗り合戦のユーザー2,000人以上が足を運んだという。
墨田区の商店街では当初、1万人程度の規模感で考えていたが、予想を大きく上回る成果を生んだ。なお、今回は東京都の予算を利用してイベントを行ったが、商店街側から同様の取り組みをまた実施したいという要望もあったそうだ。
従来、ケータイ国盗り合戦では、お出かけをベースとしたイベントを展開することが多かったが、買い物系のキャンペーンを実施すると女性ユーザーが多く訪れることがわかったそうだ。また、家族や友達などと一緒に買い物を楽しむ人も多かった。
今回、商店街とサービスを実施したことにより、マピオンとしてもノウハウを蓄積でき、受け入れられるサービスであることを把握できた。今後はそのノウハウを生かして、他の商店街でも同様の取り組みを提案したり、複数の商店街を募って全国的に展開することも検討している。
O2O販促施策で大丸松坂屋百貨店の来店と売り上げにつなげる
サントリーや第一三共ヘルスケアなどメーカーとのタイアップも展開
また、2012年12月7日~9日 、12月14日~16日には、大丸松坂屋百貨店とともに、年末商戦時に百貨店内で買い物をしてもらうことにより、ゲームアイテムをプレゼントする「大丸 くにふだ漫遊記2012」を実施した。大丸松坂屋百貨店とは2011年に続き2回目の施策となるが、今回は6日間で約3,400人以上を動員。売上も5,200万円規模を達成した。今回はケータイ国盗り合戦の中のファンの活性化を目的として、「国盗り福袋」をノベルティとして500個限定で配布。それを求める人で、特設ブースには長い行列ができ、ほとんどが販売開始間もなく売り切れた。また、東京と大阪の両店舗を訪れる人も多かったそうだ。
そのほか、メーカーと連携したキャンペーンとして、2012年6月にサントリーと協力し、ローソンで「BOSS」を購入して、商品のPOPについているシリアルナンバーをWebで入力すると入力本数に応じて、限定デジタルアイテムがもらえるポイントを付与する取り組みを行った。第一三共ヘルスケアと協力し、コンビニエンスストアで「リゲイン24DX」を購入した人に対しても特典を提供する取り組みを行った実績もある。
当然、従来から強化するお出かけを楽しむ企画も継続して実施。3月28日からは、南東北の列車利用促進と地域活性化を目的として、キャンペーンゲーム「国盗り!事件簿~8人のたからもの篇~」を展開。磐越西線の「快速あいづライナー」や陸羽東線の「リゾートみのり」などの列車の利用促進を目的としてスタンプラリーを実施している。
ゲーム内ポイントを実店舗で利用できるNFC技術活用サービスを開発
O2Oならばマピオンと呼ばれるようなサービスの開発を目指す
同社では、新たな取り組みとして、2012年10月にケータイ国盗り合戦をベースに、お出かけや買い物など、日常生活のありとあらゆる行動を創出するO2Oプラットフォームとなる「starmp(スタンプ)」を発表。今後はオリジナル特典アイテム「Star(スター)」を活用することで、生活のあらゆるシーンで使えるサービスを展開していきたいとしている。StarmpはO2Oに特化したプラットフォームとして位置付けており、ケータイ国盗り合戦以外のアプリケーションでも対応できるように基盤を構築している。従来のケータイ国盗り合戦は、心を惹きつける、足を運ばせるということが強みとなっていたが、Starmpではさらに購買やアクティベート(活性化・ファン化)させることまでを目指していく。
「利用者のモチベーションの喚起に加え、リアルでの行動がロギングでき、ユーザーの経験値が上がったり、仮想通貨が手にできるプラットフォームとなっています」(加藤氏)
現在は、ケータイ国盗り合戦のユーザーに向けたサービスを展開。ケータイ国盗り合戦のIDはそのままStarmpとして利用可能となっている。それ以外のユーザーに向けて提供するアプリケーションについては試行錯誤している段階だが、例えば、女性に向けたサービスを提供するなど、アプリケーション単体としての展開も可能だ。今後は、オリジナル特典アイテム「Star(スター)」をリアルな店舗で利用してもらうことも検討している。
その1つの取り組みとしてNFC/FeliCaを利用したシンクライアント決済サービスを提供するTFペイメントサービスと協力し、モバイルゲームで遊ぶともらえる特典ポイントをリアルの店舗での購買にそのまま利用できるサービスを開発した。NFCサービスを活用し、両社のプラットフォームサービスを連携させることで、顧客誘導から決済まで一貫して提供することができるという。今後も、新しいテクノロジを積極的に取り入れてきたいとしている。
ただ、港区や墨田区との施策のように、アナログな紙の「くにふだ」をつかうからこそ商店街と連携して施策を展開できた結果が示すように、店舗としても簡単な仕組みの方が喜ばれることが多い。「くにふだ」を利用することで、店舗スタッフと顧客の会話など、コミュニケーションにつながるケースも多いため、心が伝わるサービスとしてアナログな仕組みは重要であると考えている。今後はそれも踏まえ、各サービスに合ったテクノロジを組み合わせていきたいという。
マピオンでは、O2Oの分野でビジネスを展開していくためには、現在の登録会員数107万人(2013年3月末現在)ではまだまだ少ないと考えている。そのため、Starmpによりプラットフォームを拡大することにより、事業領域を広げていく方針だ。まずは、他社と違うアプローチを形にすることで、1,000万人の会員獲得を目指す。
加藤氏は最後に、「O2Oはさまざまな切り口から出てきていますが、これぞO2Oと言えるサービスは不明瞭だと思います。弊社ではこれまでの活動の中で複数の成功事例を築いていますが、さらに強化して取り組むことで、『O2Oといえばマピオン』といえるようなフラッグシップをとれるように取り組んでいきたいです」と力強く語った。