2014年8月18日8:10スマホの普及により進化を遂げる「モバイルバンキング」(Mの時代)
「モバイルバンキング(Mobile Banking)」とは、モバイルフォンやスマートフォン、タブレット端末といった移動体通信デバイス口座を用いて、アカウントを管理し、カスタマイズされた金融情報にアクセスして、バンキングなどの金融サービスを利用することである。
モバイルバンキングは、銀行口座からの資金移動(送金)サービスやEビルEペイ(電子請求・電子支払)といったリモートのモバイルペイメントのほか、専用のモバイル財布アプリによるNFCなどのPOS(Point of Sale)の近接型モバイルペイメントも可能だ。従来のモバイルフォンによるSMS(Short Message Service)のモバイルバンキングからモバイルウェブによるモバイルバンキング(注:1999年にヨーロッパで最初に行われた、アメリカは2006年より行われている)を経て、スマートフォンやタブレット端末と専用アプリによる指紋認証などの高いセキュリティ機能を備えたサービスへと進化を遂げている。
また、スマートフォンの登場により、モバイルバンキングはインターネットバンキングの数倍のスピードで普及しているそうだ。
モバイルバンキングにおける金融サービスとしては、「口座情報」「リモートペイメントサービス」「近接型のモバイルペイメントサービス(NFCやQRコード、Beaconなど)」「デポジット」「投資」「サポート」等が挙げられる。
モバイルバンキングは、欧米やアジアの先進国とアフリカや南アジアなどの発展途上国では大きく異なると言われている。欧米やアジアの先進国ではモバイルフォンはほぼ100%普及し、従来のSMSによるテキストメッセージのレベルのモバイルフォンでは限定的な利用にとどまっていたが近年スマートフォンが急速に拡大し、専用アプリによりモバイルペイメントを含む多くのサービスと使い勝手やセキュリティの向上によりモバイルバンキングが普及する好機となっている。
一方、アフリカや南アジアなどの発展途上国でもモバイルフォンが急速に普及し、成人の多くが持つようになっているのは珍しくなくなっているものの、スマートフォンの普及には至らず旧式のモバイルフォンが主流で、SMSによるテキストメッセージによるモバイルバンキングがメインである。
このように、モバイルフォンの普及は進んでいるものの、住民の多くが銀行口座を有しない“Unbanked”層であるアフリカや南アジアなどの新興国では、資金移動サービスのニーズが高い。ケニアのM-PESAの成功例やインドのVisaやAirce、ICICI銀行による“Mobile Money”の導入など、モバイルバンキングにより送金サービスなどのバンキングサービスが利用できるようになったり、従来持てなかった銀行口座がモバイルバンキングによるコストの低減で持てるようになり、送金などの銀行サービスが受けられるようになっている。
「モバイルペイメント要覧」では、スマートフォンやタブレット端末機などのモバイルデバイスによるオンラインバンキングであるモバイルバンキングについて、リモートや近接型のモバイルペイメント機能を中心に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、中国、韓国、タイ、インドの7カ国について、紹介している。