2014年11月4日8:00鉄道・バスの利用者を静鉄グループ店舗へ送客する「ルルカポイントサービス」地域共通カードとして静岡エリア在住の4割の利用を目指す
静鉄グループは、鉄道、バスの乗車でポイントが貯まる「ルルカ(LuLuCa)乗車ポイントサービス」を2014年3月から展開している。電車やバスで貯まったポイントを利用して、静鉄グループ店舗に送客する目的は形になり始めているそうだ。
4種類のカードを発行
しずてつストアでのルルカカードの提示率は約85%
ルルカは、静鉄グループが2006年より発行しているポイントカードで、交通乗車機能とクレジットカード機能付き(JCB)の「ルルカプラス」、クレジットカード機能付き(三井住友カード:Visa)の「ルルカパレッタ」、交通乗車機能が付いたポイントカード「ルルカパサール」、店舗で即時発行できる現金ポイントカード「ルルカポイント」の4種類となる。
ルルカポイントサービスでは、従来、しずてつストア(食品スーパー)、新静岡セノバ(ショッピングセンター)等のショッピングポイントだったルルカポイントが、静鉄グループ電車・バスの乗車で付与される。流通系のポイントプログラムが公共交通に本格的に参画するのは、私鉄業界初の試みとなるという。
静鉄電車・ジャストラインバス共通基本サービスは、乗車金額100円(税込)につき10ポイントで、1カ月単位で集計し、翌月付与を行う。また、ポイントギフト券(500円)で、500円分チャージに充当される。さらに、1カ月の乗車金額によりポイントをプラス。例えば、5,000円~8,000円未満で50ポイント、8,000円~10,000円未満で80ポイント、1万円以上で100ポイントとなっている。また、1カ月の乗車回数によりポイントを付加。2回ごとの乗車で5ポイントが付与される。
ルルカは、食品スーパーのしずてつストア、ショッピングセンターの新静岡セノバなど、生活に密着した静鉄グループ店舗でもポイントが付与される。例えば、33店舗を展開するしずてつストアでは、現金払いで200円(税抜)ごとに1ポイント、ルルカプラス・パレッタのクレジットでの支払いの場合、100円(税抜)で1ポイント付与される。また、木曜日と土曜日はポイント倍付けデー、毎月の利用金額が9,500円、3万8,000円にそれぞれ達すると、倍付ポイントをプレゼントしているそうだ。
「しずてつストアでは、本年2月までポイント付与率は100円(税抜)で1ポイントのところを200円(税抜)で1ポイントに変更しました。また、一カ月の買い物金額によりポイント付与率を上げ、ロイヤリティが高い方を優遇するシステムにシフトしたため、それほどポイント付与率変更の影響は受けていません」(静岡鉄道 企画部 部長 水上友太氏)
現在、しずてつストアでのルルカカードのレジでの提示率は約85%。また、新静岡セノバでも65%が提示されている。「カードを利用される固定客が多い」ことが強みとなっているそうだ。
日常的な鉄道乗車で多くのポイントが貯まる
ルルカ会員の新静岡セノバへの来店は着実に高まる
また、ルルカの狙いとしては、電車・バスで貯まったポイントを利用して、静鉄グループ店舗に誘客する点が挙げられる。特に電車・バスの付与率は100円で10ポイントと高いため、日常的な鉄道乗車で多くのポイントが貯まるメリットがある。
ルルカは、500ポイント貯まると、しずてつストア各店、新静岡セノバ、藤枝ゴルフクラブに置かれているポイントギフト券発券機でポイントギフト券(500円分)と交換できる。例えば、ルルカ会員の新静岡セノバへの来店率は着実に高まっており、「その数はまだまだ伸びます。弊社のような事業体でいうと、固定性、必然性の高い電車・バスの利用でポイントが付き、新静岡セノバや静鉄ストアで利用するという、理想的な形となっています」と水上氏は笑顔を見せる。
鉄道やバスとの相乗効果という面では、しずてつストアの立地はバスの停留所のすぐそばにある立地面での優位性を生かしていきたいという。例えば、「毎月15日は電車・バスのポイントが付与されるため、確実に店舗に来店してもらうように、乗車の方は5ポイント付与といったシナジーを図っていきたい」と水上氏は構想を口にする。
なお、「ルルカプラス」と「ルルカパレッタ」はクレジット機能も搭載されている。例えば、しずてつストアでの他ブランドも含めたクレジットカード利用率は約14%となっているが、将来的には20%まで高まると予想する。店舗にとってクレジットカードの手数料は負担となるが、自社発行カードであればそのコストも抑えられるメリットもある。
「店舗でのクレジット会員獲得は課題でしたが、現場の窓口で訴求するのはパフォーマンスが上がります。しずてつストアでは、日常利用される方が多く、お客様と普段から接しているレジのスタッフから直接営業する方法により順調にカードの発行枚数は増えています」(水上氏)
新静岡セノバオープン以降は若年層の入会も増加
今後は社会貢献・地域貢献等の活動も強化
なお、ルルカカードの利用者については、2~3年前までは50代、60代が多かったが、新静岡セノバが誕生して以降は10代、20代も増え、静岡市の人口グラフに近づいてきたそうだ。また、静鉄電車は近距離輸送のため、カードの稼働率は女性ユーザーが6割以上を占めるそうだ。
さらなる地域カード化の推進に向け、「今後は社会貢献・地域貢献等の活動も行っていきたい」(水上氏)としている。2014年3月2日に開催された「静岡マラソン」では、完走者が「完走記録証」を新静岡セノバ5階ルルカカードカウンターに持参した方には、ルルカポイント100ポイントをプレゼントした。
静鉄グループは、静岡市を中心とした静岡中部の地域に根差して事業を展開している。ルルカカードは着実に浸透しており、「地域のPontaやTポイントと言える状態に静岡市ではなってきています。将来的には、地域の共通カードとして、ルルカエリアの100万商圏で4割の人が1年に1回利用している状態に持っていきたい」と水上氏は目標を掲げた。