2015年9月2日8:30
シリコンバレーでは伝統的な銀行にかわるさまざまなスタートアップが登場している。
彼らはみんな我々のランチを食べようと必死だ。
2015年4月、JPモルガンチェイスのジェイミー・ダイモンCEOは
株主宛の手紙でメガバンクの近況をこう報告した。
金融サービスのデジタル革命で世界の銀行の大半は取り残されるだろう。
スペインに本拠をおく銀行BBVAのフランシスコ・ゴンザレス会長は警鐘を鳴らす。
いま世界中の銀行は
ネオバンクと呼ばれるフィンテックベンチャーの台頭に危機感をつのらせている。
まだ金融サービスの中核にはなっていないけれど
これまで無風地帯だった銀行領域を徐々に侵食しはじめているのだ。
新規参入がむずかしい銀行領域へネオバンクはどんな方法でチャレンジしているのだろうか。
そもそもネオバンクとはなに者か。
世界の巨大銀行を脅かすパワーはどこから生まれているのだろうか。
ネオバンクを解剖することによって、新時代の金融ビジネスがみえてくる。
■ネオバンクとはなに者か
ネオバンクは米国で台頭する新しいバンキングサービスにメディアがつけたバズワードだ。そこに登場するネオバンクの代表例を、銀行の3大業務にその他を加えた4つのジャンルで分類したのが上図である。
預金では普通預金の概念を変えたシンプル、ソーシャルメディアを活用して積立預金を楽しくしたスマーティピッグ、自動的に節約し貯められるディジットが代表例だ。
貸出ではクラウドファンディングで融資するレンディングクラブ、モバイル分割払いのアファーム、ビッグデータを活用した審査で数々の特許をもつキャベッジがある。
為替では銀行口座をベースにした送金を可能にしたドゥオラ、モバイルで簡単に割り勘支払いできるようにしたベンモ、国際送金を直感的にしたワールドレミットだ。
その他ではプリペイドカードで個人金融管理(PFM)ができるムーブン、個人信用情報を無料で取得しながらクレジットスコアを改善できるクレジットカルマである。
これらの代表例から日本カードビジネス研究会としてネオバンクを定義すると「既存の銀行サービスにはない新たな価値を、最新の情報通信技術を活用して、顧客に提供する金融ベンチャー」となる。
ネオバンクは銀行の商品やサービスの一部に特化、あるいはバリューチェーンの限られた部分に特化したものが多い。特化深堀は専門企業が得意とするところである。