2016年4月18日8:45
Visaデビットは口座残高不足時の立て替えが可能
イオンフィナンシャルサービスの子会社であるイオン銀行は、2014年1月に発行を開始した「イオンデビットカード(Visaデビット)」に続き、2016年春に「イオン銀行ICキャッシュカード」に電子マネー「WAON」とジェーシービー(JCB)が提供する「JCBデビットカード」の機能を搭載した3機能一体型の「JCBデビット付ICキャッシュカード」を発行する。同社のデビットカードサービスの特徴について話を聞いた。
イオンの約40%の現金決済をキャッシュレスに
Visaデビット利用者は能動的に入会
イオン銀行がVisaデビットの発行を開始した理由は、決済手段の拡充にあったという。すでにイオングループでは、「イオンカード」や「イオンカードセレクト」のクレジット(後払い)、電子マネー「WAON」や「イオンギフトカード」といったプリペイド(前払い)を提供しているが、デビットカードの発行により即時払いにも対応できる。
「Visaデビットは、銀行システム停止時や、万が一預金口座残高が不足している場合に、一時的に10万円までご利用金額を立て替えることができるのが特徴で、他社のデビットカードとの差別化となっていますが、事実上与信枠が付くので、クレジットカードに準じる審査が発生します。今回、15歳以上(中学生を除く)からの申し込みが可能なJCBデビット付キャッシュカードを発行することで、より多くの方にデビットカードをお持ちいただくことが可能となります」(イオン銀行 営業本部 商品統括部 WAON・決済機能部 部長 熊野聡氏)
また、イオンの店舗では、イオンカードやWAONなどの手段を提供することで、非現金化を進めており、約6割以上がキャッシュレスとなっているが、「残りの約40%をカバーしていきたいです」と熊野氏は意気込む。
JCBデビットでは、デビットカードを利用するごとに、イオンカードと同様のポイント特典が受けられるほか、前払いで利用できるWAONも搭載。また、利用金額をメールで知らせるサービスやあらかじめ利用限度額を設定できる機能を提供するなど、利便性向上にも力を入れている。
イオン銀行では、ブランドデビット普及の可能性は高いとみている。Visaでは、テレビCMなどの配信により、消費者への認知度アップを図っており、現金に近い感覚で利用できる。熊野氏は、「デビットが普及し始めたときに、すぐそのカードがデビットとしてご利用いただける環境を提供していきたいです」と力を込める。
Visaデビット発行当初は、イオン銀行の店舗を中心に、現場の業務量や実務を緩和しながら徐々に店舗を拡大。現在は、千葉エリアを中心に一部の関東圏の店舗で申し込みが可能だ。また、インターネットからの申し込み受け付けも行っている。同部 WAON推進G 統括マネージャー 笠原謙一氏は、「カードの申込みにはイオン銀行総合口座が必要になり、ご利用いただく前にその口座へ入金していただく必要があります」と説明する。
申し込み者の稼働率は約3割。利用者の傾向として、電子マネー、デビットカード、クレジットの順に稼働が高くなるそうだ。
「Visaデビットはそれほど強いプロモーションをかけていない中でも、着実に会員を伸ばしており、能動的にご入会いただいております。利用者の稼働率はクレジットカードよりは劣りますが、ニーズのあるお客様がご利用いただいている感触もあり、今回のJCBデビット付ICキャッシュカード導入につながりました」(熊野氏)
JCBデビットは口座開設者に原則付帯
JCBデビットは、同行の口座開設者に原則付帯する。3つの機能が一体となったカードとして、クレジット機能や電子マネー機能、キャッシュカード機能を付帯した「イオンカードセレクト」があるが、「クレジットに抵抗があるお客様を中心に利用者を伸ばしていきたいです」と同部 決済機能G マネージャー 落合信央氏は意気込む。
なお、最近ではデビットカードを発行するイシュアが増えているが、「イオン銀行が発行するカードにイオングループの特典が付くことで差別化となります。デビットカードは無審査のため、多くの方にお持ちいただくことが可能となり、私どもイオングループで展開することで、初年度数十万枚のボリュームは出せると期待しています」と熊野氏は自信を見せる。イオン銀行にはイオンの利用者に直接カードの特典を説明できる強みがあり、消費者への浸透は早いとみている。
熊野氏は、最後に、「弊社のクレジット会員は2,500万人おり、年間100万強の方にご入会いただいていますので、JCBデビットも1~2割を目指せればと考えています。高校生からデビットをお使いいただき、最終的にクレジットカード入会につなげることも期待しています」と構想を語った。