2016年4月13日10:40
SMK LOGOMOTIONは、日本のSMKとスロバキアのLogomotion(ロゴモーション)の合弁会社である。同社では、2つのセキュアエレメント、アンテナを搭載したNFC microSD カード「LGM CARD」の販売を行っている。
2つのセキュアエレメントを搭載するメリットとは?
国際ブランドの仕様を考慮して開発
「LGM CARD」は、Logomotionが開発。現在は、SMK LOGOMOTIONがグローバルに販売している。「Mobile World Congress2016」では、メモリーカード規格を策定する国際的な業界標準化団体のSD Association(SDアソシエーション)」のブースで「NFC microSD カード」の展示を実施。SD Associationの総会に参加した際、関係者から高い評価を受け、今回の展示に至ったという。
グローバルでもスマートフォン等へのNFCチップの内蔵は進んでいるが、搭載されていない商品も多い。また、最近では安価なスマートフォンも増えており、その場合、NFCチップを搭載しないケースもある。そこで、NFCのセキュアエレメントおよびアンテナを内蔵したNFC microSD カードを作ったそうだ。
「LGM CARD」は、NXPセミコンダクターズのセキュアエレメントを使用している。EMVのモバイル非接触決済、Mifare DESFire アプリケーションに加え、アクセス制御等に利用できる。また、同製品は、MasterCardのMasterCard Contactless(旧MasterCard PayPass)の承認された製品となっている。
「LGM CARDの特長として、2つのセキュアエレメントを搭載しています。例えば、VisaやMasterCardなどのペイメントアプリケーションをmicroSDのセキュアエレメントに搭載する際、物理的に1つのブランドのアプリケーションでしか利用できません。そのため、2つのセキュアエレメントを搭載することで、それ以外のサービスが提供できるようにしています」(SMK LOGOMOTION ゼネラルマネージャー 土屋敦司氏)
例えば、日本のおサイフケータイのセキュアエレメントの場合、メモリ分割して複数の事業者で使用されているが、国際ブランドのペイメントアプリケーションの場合、ポリシーとして占有される形になるそうだ。なお、2つのセキュアエレメントを搭載する技術は特許を取得している。
小型のアンテナの性能も特徴に
東南アジア、インド、アフリカなどで導入を進める
また、SDスロットを持つほとんどのスマートフォンで動作するアンテナ性能も特徴となっている。アンテナのサイズも小さく、この技術とノウハウをグローバルに広めていきたいとしている。
近年では、クラウド上で機密情報を管理する「HCE(Host Card Emulation:ホスト・カード・エミュレーション)」を採用する動きもあるが、「現在、お客様から引き合いをいただいている地域は東南アジア、インド、アフリカなどとなり、インターネット環境が十分に整っていないエリアもあります。その場合、ハードウェアベースのソリューションのニーズがあると考えています。AndroidやJavaで使用できるAPIをハードウェアと一緒にご提供することで、Androidアプリケーションを作っていただきたいですね」と土屋氏は説明する。
そのほかの特徴として、ISO/IEC 7816の端子を搭載。銀行にSIMカードをパーソナライズできる設備があれば、出荷前の書き込みなど、便利に利用可能だ。
SMK LOGOMOTIONでは、今年の夏には「LGM CARD」の量産販売を行う予定だ。価格も量産が可能になれば、より安価に提供できるとしている。
※取材は2016年2月22日~25日までスペイン・バルセロナで開催された「モバイル・ワールド・コングレス2016」にて