2017年11月16日8:48
2015年の26%から2倍を目指す
台湾台北で開催された「JCB世界大会」(2017年11月1日、2日開催)の基調講演では、台湾の金融監督当局であるFinancial Supervisory Commission Republic of China(台湾)(以下FSC)Deputy Director General, Banking BureauのLi Chun Wang氏が講演した。台湾では、2015年の26%から2020年は52%へと、キャッシュレス化比率を高める目標を掲げている。
日本同様に現金決済比率が高い台湾
FISCやNCCCを含め、官民が協力してキャッシュレス化に取り組む
台湾の2016年のクレジットカードの発行枚数は4,000万枚を超えている。また、クレジット決済ではセキュリティ面への配慮から、接触ICカードもしくは非接触ICカードの取り引きがベースとなっている。クレジットカードに加え、デビットカードも発行されているが、取扱高はそれほど高くはない。
台湾では、日本同様に消費習慣として現金による取引が好まれる傾向にあり、ATMによる現金引き出しが多くなっている。たとえば、同じアジアの国でも香港は65%、中国やシンガポールは5割を超えるキャッシュレス比率となっている。
そのため、台湾のキャッシュレスの環境をさらに整備させて、向上させていく必要があると考え、FSCでは2015年のキャッシュレス化比率26%を、2020年に52%へと、5年間で2倍にする計画を掲げた。
「電子決済比率は2015年に26%ですが、2020年には52%まで引き上げていく予定です。銀行、証券、保険会社を含めて、さまざまな金融機関、関係者とタイアップしたタスクフォースとして、電子決済の普及を加速させていきたいです」(Li Chun Wang氏)
タスクフォースには、台湾国内の銀行が加盟する銀行間ネットワー クを運営するFISC(Financial Information Service)、クレジットカードのネットワークを統括しているNCCC(National Credit Card Center)なども加わっており、官民が協力してキャッシュレス化に取り組んでいる。
具体的なキャッシュレス化に向けた活動は?
2017年上期で電子決済比率が31.95%までアップ
電子決済は経済活動をさらに効率的に行い、民間消費をもって経済の成長を促す機能がある。また金融取引の透明度を向上させるファンクションもあり、地下経済の規模を縮小させ、コストを削減する効果もある。タスクフォースでは、インターネットペイメントやモバイルペイメントを施策の重点項目に位置づけている。
具体的な取り組みとして、これまで現金決済が中心であった医療機関において、電子化を取り入れたいとした。さらに、決済に関する法的環境を整備することで、セキュリティを保ちながら、事業者が自由に運用できる範囲を与えることにより、サービスやツールが広がると考えている。たとえば、クレジットカードをインターネットにより、プリペイドカードのアカウントにチャージできるように、電子マネーの法規も見直したという。また、店舗は、さまざまな決済手段を導入したいと考えているため、決済端末を統合する動きをしている。さらに、スマートフォンなどのモバイル決済に取り組むと同時に、生体認証などの手段も取り入れていきたいとした。
そのほか、支払いチャネルとしては、公共料金の支払いや納入のネットワークの範囲を広げていく方針だ。
すでに台湾での取り組みはスタートしており、2017年上期の最新統計によると、電子決済の比率が31.95%まで向上した。Li Chun Wang氏は、「監督機関として責任をもって、市場の需要を把握し、技術の発展のプロセスを踏まえ、実用的な需要がどの程度あるかを考え、フレキシブルに監督管理や環境づくりをしていきたいです」と意気込みを述べた。