2017年11月28日8:20
北欧の大手決済サービス事業者であるNets Denmark A/S(以下、Nets)では、デンマーク独自デビットカードシステムとして「Dankort(ダンコート)」を展開している。2017年11月1日、2日に開催された「JCB世界大会」では、「Next generation payments The mobile journey」と題して、Netsのモバイルへの取り組みや次世代のサービス開発について、Nets Denmark(デンマーク)CEO Jeppe Juul-Andersen氏が講演した。
DankortがHCE対応モバイル決済導入
「Dankort(ダンコート)」はデンマークの独自デビット決済スキームで、Netsが所有するシステムとなる。デンマークの多くの店舗で決済が利用できるとともに、フィンランド、スウェーデン、フィンランドの北欧諸国でサービスを提供している。北欧は決済のトランザクションの8割がデジタル化されており、カード払いが進んでいるそうだ。
現在、3,500万のDankortのカードが発行されており、80億の取扱高となる。JCBと連携し、1980年からデンマークとフィンランドでアクワイアリングサービスを提供している。さらに、約2年前にJCBとのパートナーシップをモバイルプロジェクトに拡大。2016年8月からデンマーク国内でDankortのHCE対応モバイル決済が導入されるとともに、同国内の加盟店にてJCBの提供する非接触型IC決済サービス「J/Speedy」の取り扱いがスタートした。Juul-Andersen氏は、「現在はモバイルの後を見据えた次世代の決済を考えています」と話す。
全取引高の36%がモバイル決済に
デンマークは人口が550万人だが、Dankortはもっとも多く発行されているカードである。また、すべてのトランザクションの約75%がDankortとなっている。すでに、全取引高の36%がモバイル決済となっており、この2年間で順調に浸透してきた。
「非接触の成功がモバイル決済の道を示しました。向こう数年の間にはすべてのPOSの取引の40%がモバイルフォン経由で行われると思います。いったん土台作りができれば、テイクオフして広まるでしょう」(Juul-Andersen氏)
オープンなプラットフォームとして追加のサービスを構築へ
また、QRコードを活用した決済に関しても、NFCのコンタクトレスペイメントと同様の土台作りができれば、広まると考えている。すでにデンマークでは、決済時に出力されるレシートがデジタル化しているケースも多く、決済についても、よりモバイル化・デジタル化が進むとした。
DankortのHCE対応モバイル決済はJCBと協力して構築したが、「物理的なカードと同じ、オープンなプラットフォームであることが重要であり、決済に加えて、追加的なサービスを提供可能です」とJuul-Andersen氏は話す。
その上で、現在の決済の進化は一時的なステップに過ぎず、今後も利便性が高い、摩擦の少ない決済が登場してくる中で、JCBのパートナーとして、新たなテクノロジーを協力して開発していきたいとした。