2017年12月13日9:53
ユーザー視点に立ったサービス拡充を目指して、来春からグループ外の沖縄銀行ともAPI連携を開始
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティングは、ロボアドバイザーでおまかせ資産運用「THEO」を提供するお金のデザインと共同で、2018年3月を目途に、iBankマーケティングが提供するスマホ専用アプリ「Wallet+」上で「THEO+」への追加入金や運用状況を確認できる機能を、API連携により追加実装する。また、グループ外の沖縄銀行とも、来春にAPI連携を開始する予定だ。このリリースに合わせて、ふくおかフィナンシャルグループとお金のデザインは、12月11日、東京にて、記者向け勉強会を開催した。
「THEO」との連携強化により“新しい投資のカタチ”を提案
2017年は改正銀行法が公布され、全国の銀行や信用金庫でAPI開放の動きが加速した。2018年はさらに取り組みが加速すると予想されている。
ふくおかフィナンシャルグループのフィンテック・ベンチャー企業、iBankマーケティングは、中核サービスとして2016年7月にスマホアプリ「Wallet+(ウォレットプラス)」をリリースし、2017年12月時点で30万ダウンロードを達成している。アプリのリリースから1年を経過した2017年7月からを、iBank2.0のフェーズと位置付け、サービス拡充に着手。そのひとつ、「ふやす」サービスとして、ロボアドバイザーでおまかせ資産運用「THEO(テオ)」を提供するお金のデザインと提携。「Wallet+」から「THEO+(テオプラス)」のサイトに誘導する施策を実施してきた。
今回の発表によると、この連携を、2018年3月より、さらに強化。API連携によって、「Wallet+」上で「THEO+」への追加入金や運用状況の確認ができる機能を追加実装する。これにより貯蓄と投資のサービスが分断されることなくシームレスにつながり、ユーザーは日々の収支管理から将来の資産運用までを「Wallet+」から行えるようになる。
また、今後の展開として、「Wallet+」上で獲得できるポイント「myCoin(マイコイン)」を原資として、「THEO+」への追加入金などを可能にする「ポイント投資」の仕組みについても、お金のデザインと共同で検討していくという。
金融業界でもオープンAPIの流れは止められない
12月11日に行われた記者向け勉強会では、筆頭に、「APIで何が変わるのか、実現できるのか」をテーマに、人事や労務にかかわる業務ソフトを扱うHRテックカンパニー、SmartHRの経営企画責任者 倉橋隆文氏と、お金のデザイン プロダクトエンジニアリング部長 星竜一氏が登壇。倉橋氏は自身のオープンAPI活用の経験を踏まえ、金融業界でもオープンAPIの流れは止められないだろうと語った。
「小売業界では何でも屋のGMSが衰退して、専門店の集合体であるショッピングセンターが覇権を握りました。われわれは、ショッピングセンターのキーテナントになりたいと思っています。ユーザーの利便性を図るために、専門店同士をつなぐ役割を果たすのが、オープンAPI。金融業も同様に、GMSになるか、ショッピングセンターのキーテナントになるかを選択する局面にあるのではないでしょうか」(倉橋氏)。星氏は、API連携は、連携するためのシステム開発のコストや時間を削減できる点で、会社や社員にとってもメリットが大きいと指摘した。
沖縄銀行の顧客に「Wallet+」のすべての機能を提供
「Wallet+」は来春から、沖縄銀行とのAPI連携を開始。沖縄銀行の顧客に「Wallet+」のすべての機能を提供する。「すべての金融機関が使えるシームレスな仕組み」と題した後半のトークセッションに登場した沖縄銀行 総合企画部 業務革新プロジェクト上席調査役の山城斉一氏は、この経緯について、「生活者起点のサービスであること、地域事業者のビジネス支援に力を入れていることの2点に共感して、ぜひ連携させてほしいとラブコールを送りました」と振り返った。
お金のデザイン 代表取締役の中村仁氏は、「オープンAPIが目的なのではなく、提携して何をするのかが重要。セキュアな環境を確保しながらユーザビリティを上げて、ユーザー中心のサービスを構築していかなければ」と展望を語った。
iBankマーケティング 代表取締役の永吉健一氏は、「フィンテックという言葉を聞いたことがなくても、知らず知らずに利用して便利さを享受している人は多いはず」と指摘。「お金についてもっと身近に考えてもらえるように、特に若い世代に向けて、新しい便利なサービスを先取りして提案していきたい」と意気込みを見せた。