2018年4月24日8:00
「クレジットカードビジネス市場要覧」では、マレーシアのクレジットカードビジネスについて紹介している。マレーシアの概要は(図表)の通りで、データは原則2015年のものである。マレーシアの国土面積は33万平方キロメートル、日本のおよそ9割で、人口2,995万人、名目GDP(2015年)は 2,962億ドル(約35兆円)で世界ランキング第36位、一人GDPはドル9,500ドル(約144万円)で、世界ランキングは第64位で、ASEANでは10カ国中シンガポール、ブルネイに次いで第3位である。
(図表)マレーシアの概要(2015年)
国土面積 |
33万平方キロメートル、日本のおよそ9割 |
人口 |
2,995万人 |
首都 |
クワラルンプール |
主な言語 |
マレー語、英語、中国語 |
通貨・通貨コード |
マレーシアリンギ(MYR) |
名目GDP(2015年) |
2,962億ドル、36位 |
一人GDP |
9,500ドル 64位 |
銀行数 |
43行 37位 |
銀行支店数 |
2,381店 42位 (IMF) |
成人人口10万人当たりの銀行支店数 |
10.65店 110位 (IMF) |
ATM設置台数 |
11,626台 30位 |
成人人口10万人当たりのATM設置台数 |
51.11台 66位 |
ATM最少引き出し額 |
10リンギ(約円) |
インターネットユーザー数 |
2,155万人 78位(ITU) |
インターネット普及率 |
71.06% 61位(ITU) |
モバイルフォン契約数 |
4,411万件 31位(ITU) |
モバイルフォン普及率 |
143.91% 32位(ITU) |
出典:外務省、World Payment Guide、Global Note、IMF、ITU他
IMFのデータによると、マレーシアの銀行数は43行で世界第37位、銀行支店数は2,381店で世界第42位、成人人口10万人当たりの銀行支店数は10.65店で世界第110位である。銀行支店数は2004年の2,412店から2006年の2,120店へと減少したものの、2007年から増加に転じ、2015年には2006年比261店舗増の2,381店に増加している。
マレーシアのATM設置台数は11,626台で世界ランキングは第30位、成人人口10万人当たりのATM設置台数は51.11台で世界ランキングは第66位である。ATMの設置台数は2004年の4,708台から2015年の11,626台に11年間で6,918台増加したものの、世界ランクは25位から30位にランクダウンしている。成人人口10万人当たりのATM設置台数は2004年の27.17台から2015年の51.11台へと23.94台増加している。この間、世界ランキングは49位から66位のレンジで推移している。
ITUのデータによると、マレーシアのインターネットユーザー数は2,155万人で世界ランキング第78位、インターネット普及率は71.06%で世界ランキング第61位、モバイルフォン契約数は4,411万件で世界第31位、モバイルフォン普及率は143.91%で世界ランキング第32位である。
マレーシアの中央銀行であるBank Negara Malaysiaによるマレーシアのペイメントシステムに関する『Financial Stability and Payment Systems Report』の2015年度版並びに2016年度版の報告書による2011年から2016年までの6年間のATMからの現金引出件数・金額の推移を示した数字によると、2011年の5億5,680件、2,794億8,400万リンギから2016年の7億6,130万件、3,895億5,400万リンギへと5年間で件数比36.7%、金額比39.3%増加している。ATMからの1件当たりの引出金額は2011年の501リンギ(約13,530円)から2013年と2014年には544リンギ(約14,700円)までに上昇したものの、2016年に511リンギ(約13,800円)へ減少し2011年比で10リンギ(約270円)の上昇にとどまっている。
マレーシアのペイメントカードのイシュアの推移
マレーシアのペイメントカードのイシュアの2011年から2016年までの6年間の推移として、クレジットカードのイシュアはここ6年間で2011年の25社から27社(2015年)に増加したものの、2016年には1社減り、26社となっている。そのうち24社は銀行で、ノンバンクは2社である。アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブカードなどのチャージカードを発行しているイシュアは、すべて銀行で7行である。マレーシアで発行されているクレジットカードの国際ブランドには、Visaやマスターカード、JCB、中国銀聯、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブがある。
マレーシアのデビットカード発行銀行は2011年の22行から2016年の28行に6行増加している。VisaやマスターカードのオフラインデビットカードやVISAエレクトロンなどのオンラインデビットカードなどの国際デビットカードを発行する銀行は11行に対して、国内ネットワークのデビットカードを発行する銀行は16行である。マレーシアのデビットカードネットワークには、Visaやマスターカード、VISAエレクトロン、中国銀聯といった国際デビットカードネットワークのほかに、My DebitというICカード対応でコンタクトレスペイメントが可能なマレーシアの新しい国内デビットカードネットワークがある。なお、IC電子マネーなどのE-Moneyのイシュアは2015年で23社、そのうち5社は銀行で、18社ノンバンクである。
クレジットカード発行枚数が頭打ちの状態に?
マレーシアにおけるクレジットカードやチャージカード、デビットカードといったペイメントカード発行枚数(口座数)の2009年から2016年までの8年間の推移を示した数字によると、クレジットカードの発行枚数は、2009年の1,081万枚から2014年の804万枚へ減少し、2015年にようやく861万枚と増加に転じ、2016年には917万枚へとさらに増加している。マレーシアでは2010年1月からカード1枚につき50リンギ(約1,350円)のクレジットカードサービス税(Credit Card Service Tax)が導入され、クレジットカードの発行枚数は2010年に227万枚(対前年比21%減)も減少し、その後もクレジットカード発行枚数が頭打ちの状態となっていた。アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブカードなどのチャージカードもクレジットカードサービス税(Credit Card Service Tax)の対象で、2009年の28万枚から2014年の14万枚へと半減している。
人口2,995万人のマレーシアにおいて、デビットカードは2009年の2,729万枚から2016年には人口を上回る4,367万枚へと7年間で59.9%も増加している。IC電子マネーやIC乗車券などのE-Moneyは2011年からデータが示されているが、2014年にデータの見直しが行われ、2016年の発行枚数は人口を大きく上回る6,070万枚である。