2010年10月12日8:30
日本銀行は10月6日、利用する前にチャージを行うプリペイド方式(前払方式)の電子マネーの動向について調査結果を発表した。調査期間は2010年6月までとなり、専業系のEdy、交通系電子マネー(Suica、ICOCA、PASMO、SUGOCA、Kitaca)、流通系電子マネー(nanaco、WAON)の3種8つの電子マネーが調査対象となっている。
同調査によると、電子マネーの発行枚数は増加を続けており、4月には1億3,000万枚を超えた。前年比の伸び率は20%程度の増加が続いている。しかし、08年度の30%以上の伸び率に比べると、小幅ながら鈍化傾向が窺われるという。
端末台数は、今年度は前年比で5割近い高い伸びを示している。また、決済金額は、前年比で5割を超える高い伸びが続いており、6月中の決済金額は1,393億円となっている。決済件数も前年比4割前後の高い伸びを示しており、同月中の決済件数は、1億7,000万件となった。
1件あたりの決済金額の動向としては、08年度半ばまでは700円程度で推移していたが、最近は800円台半ばで推移している。また、発行枚数1枚あたりの月間決済金額も増加を続けているという。
電子マネーの発行枚数増加により、その残高(チャージ金額)も増加を続け、6月には1,152億円となった。1枚あたりの平均残高をみると
850円程度となっている。1枚あたりの平均残高は緩やかな低下傾向にあったが、2009年度後半にはその傾向に歯止めがかかったと発表している。
他のリテール決済手段との比較では、電子マネーの決済金額は年間1兆円台と、クレジットカードの年間信用供与額42兆円などに比べて小規模なものにとどまっているという。残高規模をみると、現金(銀行券および貨幣)発行残高は80兆円以上に達しているのに対して、電子マネーは1.2億円と少額にとどまっている。貨幣に対する比率をみると、年々増加しているものの、その水準は2.6%にとどまっているという。