2019年3月4日8:00

レポート「キャッシュレス2020」では、「キャッシュレス化が遅れている国」としてスイスやドイツ等を紹介している。

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キャッシュレス化が遅れている国は2つに大別?

キャッシュレス化が遅れている国には、2つのカテゴリがある。ひとつは、アフリカや南アジアなど市場経済が未整備な発展途上国や新興国などだ。ケニアなどM-PESAというモバイルペイメントが普及し始めた一部のアフリカの発展途上国を除き、アフリカ、アジア、中東の発展途上国は、キャッシュレスのインフラであるバンキングシステムや銀行口座が普及しておらず、キャッシュレスどころか、現金決済もスムーズに行われていない国も多い。

もうひとつのカテゴリは、高度な市場経済を有し、ほとんどの国民が銀行口座を有しているいわゆる先進国で、キャッシュレス化が遅れている国である。こうした国には、ヨーロッパのドイツ、イタリア、オーストリア、スペイン、スイスなどの国がある。日本もそうした国の代表格である。

スイスは特殊で、一概にキャッシュレス化が遅れているわけではない。スイスでは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの言語が公用語とされている。スイスの中央銀行であるSNB(Swiss National Bank、スイス国立銀行)がスイスの個人ベースの決済状況に関する調査・分析を行い、2018年5月に刊行したレポート『Survey on payment methods 2017』によると、ドイツやオーストリアと隣接するスイスのドイツ語圏(人口比63.7%)やスイス南部でイタリアと隣接するイタリア語圏(人口比6.5%)は1人当たりの年間ベースでのクレジットカードやデビットカードといったペイメントカード決済件数が少なく、フランスと隣接するスイス西部のフランス語圏(人口比20.4%)では1人当たりの年間ベースのペイメントカード決済件数が多い傾向が見受けられるとされている。

ドイツと日本のペイメントカードの違いは?

ドイツと日本はバンキングシステムが高度に発達した東西の先進国でありながら、キャッシュレス化に大きく遅れている国であると言われる。ドイツでは、チェックギャランティの流れをくみ、1990年代からオンラインデビットの普及に金融界を挙げて取り組んできた。北欧やイギリス、オランダ、フランスなどの西欧諸国のようにデビットカード決済が広く普及しているわけではないが、一定の普及が見られる。ドイツにおけるクレジットカードは、発行枚数も少なく、利用はもっと少ない。日本は、クレジットカードは一定の普及が進んでいるものの、デビットカードは数年前まで普及が進んでいなかった。ドイツの場合、代金が一定金額を超える場合には銀行口座を介した資金の振替で決済が行われている。

BIS(Bank for International Settlement)によると、ドイツのデビットカードはオンラインデビットカードがメインで、人口およそ8,274万人のドイツで、2011年以降人口を上回る1億枚で推移している。ドイツはなかなかクレジットカードが普及せず、発行枚数も少ない。ペイメントカードに占めるクレジットカードのシェアも2016年末で18.1%にとどまっている。

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