2019年6月21日8:00
eギフトを展開するギフティ(東京)は、キャンペーンの景品や顧客へのノベルティとしてエンドユーザーにeギフトを贈る法人向けサービス「giftee for Business」を強化する。スマートフォンを使ったQRコード決済をはじめとするキャッシュレスの普及を追い風にして、さらなるeギフト市場の拡大が見込まれる中で、旺盛な法人需要をテコに個人に対するeギフトの認知度を高める狙いだ。(ライター 小島清利)
企業のキャンペーンのコスト削減を後押し
giftee for Businessの法人ニーズは「個人向けeギフトの販売」「ポイント交換の対象商品」「キャンペーンの謝礼やノベルティ」の3領域がある。ギフティ 代表取締役 太田 睦氏は、「キャンペーンの謝礼・ノベルティの利用は、導入案件数で前年比250%以上の成長率を見せています」と話す。
具体的には、顧客向けのキャンペーンで使える、送料不要のデジタルギフトを提供するもので、ギフトを受け取ったユーザーは、コンビニエンスストアやコーヒーショップなどで商品に交換できる仕組み。サービスのローンチが2016年で、2019年の導入数は4,659件、導入企業は520社にのぼるという。
法人需要拡大の背景には、従来のインセンティブの配布に比べ、コスト削減が図れるというメリットがある。例えば、カードタイプのギフト券に比べて、在庫管理の必要がないうえ、配送費や人件費の削減が可能だ。
当選者に賞品をリアルタイムにプレゼント
太田氏は、「giftee for Businessを活用すれば、同じ商品代金の景品を届ける場合、発行手数料が10%かかりますが、従来の方法だと、在庫管理費や配送費、梱包材料費、人件費などを合わせると、2倍超のコストがかかる計算になります」という。
また、メールやwebサイト、SNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)やアプリなど、ネット経由のさまざまな手段で景品を届けることができるので、郵送での配布に比べると、エンドユーザーに景品が届くまでのリードタイムを大幅に短縮できる効果もある。
「従来は『当選者の発表は商品の発送を持ってかえさせていただきます』としなければならなかった場合も、デジタルギフトは配送不要のため、当選者にリアルタイムにギフトをプレゼントすることができます」(太田氏)
さらに、従来は、当選者を増やすと、それだけコストが多くかかるため、同じ予算の場合、景品の単価を上げて、当選者数を絞る傾向があったが、giftee for Businessを使えば、段階的に少額のインセンティブを付与することも可能で、キャンペーン参加のモチベーションを高める効果が期待できる。
SNS活用したマーケティングにも効果
法人向けビジネスでは、eギフトを活用したデジタルのキャンペーンを低コストで効率的に実施するプラットフォームの提供も行っている。例えば、SNSを使ったサービスでは、Twitterのフォロー・リツイートなどの条件に応じ、当選者にはその場で賞品をプレゼントできる「Twitterインスタントウィン」や、LINE上でその場で消費が当たる「LINEインスタントウィン」がある。
矢野経済研究所の「商品券・ギフト券/ソーシャルギフト市場の実態と展望2017年版」によると、法人と個人のギフト市場の割合は7 対3であるという。ギフティは主力の「カジュアルギフトサービス」の普及のため、個人同士で、ちょっとした感謝のギフトを贈り合う文化の醸成を目指しているが、太田氏は、「法人サービスを普及させることで、ギフティを使ったことがある人が増え、認知度が高まっていくはずです」という。
矢野経済研究所によると、国内のeギフト市場は、2016年に295億円、2019年には 875 億円と堅調に成長を遂げており、2020年には、1,070 億円の市場規模に達すことが見込まれている。矢野経済研究所 主任研究員 高野淳司氏は、「国内ではキャッシュレス決済が本格的に立ち上がり、今後、QRコード決済の普及により、スマホを使った買い物が当たり前になることで、eギフトの市場拡大にも追い風になる可能性があります」と話している。
ASEANでeギフトを本格展開へ
さらに、ギフティは2018年、東南アジア諸国連合(ASEAN)でも本格的な事業展開を目指し、マレーシアに現地法人を設立。法人向けeギフト販売システムを日本食レストラン「Sushi King」やドリンクチェーン「などに提供を始めた。
マレーシアはインターネット普及率が71%とASEANではシンガポールに次いで高い。また、銀行口座保有も81%でオンライン決済手段も進んでいるという。
太田氏は、「マレーシアはeギフトのポテンシャルが高く、今後、giftee for Businessのサービスを充実させます。2020年までにタイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどを候補地に2か国目の進出を検討したいです」と話している。