2020年7月15日8:30
総務省は、2020年7月14日、「統一QR『JPQR』普及事業 広報大使任命式」を品川プリンスホテルで開催した。同イベントでは、複数あるQRコード決済サービスを1つのQRにまとめて支払いができる、統一QR「JPQR」が全国展開を開始することに合わせ、吉本興業所属の「銀シャリ」を広報大使に任命し、トークセッションを行い、同事業のCM動画も初めて披露した。
統一QRコード・バーコード(JPQR)を全国で面的に導入
統一QR「JPQR」は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が策定した、国内のQRコード決済の統一規格だ。複数ある決済QRコードを1枚のQRコードにまとめることで、1枚のQRコード(JPQR)で複数社の決済に対応する。国内でもQRコードを活用したさまざまなサービスが登場しているが、コード決済の乱立により、加盟店(店舗)はどの手段を導入したらいいかわからないという悩みが生まれる。
さらに、店舗にはさまざまなサービスのPOPが並ぶなど、レジスペースが狭まり、契約などの業務が複雑かつ負担になっている。その課題解決に向け、総務省ではキャッシュレス推進協議会の策定する統一QRコード・バーコード(JPQR)を面的に導入する。
最大18事業者の決済が対応可能
総務省では、2019年度に、岩手県・長野県・和歌山県・福岡県で普及事業を実施。また、栃木県では、統一QRコード決済導入促進事業を行った。昨年度の事業では、約7,000店舗でサービスが導入されたという。
今年度は、昨年度の事業で示された導入モデルをさらに効率化するため、インターネットを介した申込みを可能とするWEB受付システム(PLUG)を実装し、6月22日から稼働している。これにより、同日以降、全国の店舗から、WEBサイトを通じて、JPQRの申込が可能となった。今年度の決済事業者は、NTTドコモ、KDDI、ネットプロテクションズ、ファミマデジタルワン、福岡銀行、みずほ銀行、メルペイ、ゆうちょ銀行、銀聯国際有限公司、LINE Pay、楽天ペイメント、沖縄銀行、コモニー、PayPay、北陸銀行、北海道銀行、マネータップ、横浜銀行が順次参加する。これにより、QRコードを利用者の端末で読み取るMPM(店舗提示型)において、店舗に1つのコードを設置するだけで、最大18事業者の決済が実現可能だ。
規格を定めることで便利に利用可能
普及事業では、昨年の実施地域4県の地域サポーターに続いて、今年度も銀シャリを広報大使に任命した。当日は、総務省 官房総括審議官 秋本芳徳氏から銀シャリに任命状が手渡された。また、ラジオCMやテレビCMも披露した。さらに、銀シャリの鰻和弘さん、橋本直さんがスマートフォンでJPQRを読み取るデモンストレーションを実施した。両者はJPQRのスピードや便利さを体験し、「スマートです」と感想を述べた。
任命式の冒頭にあいさつした、総務省 官房総括審議官 秋本芳徳氏は、JPQRをコンセントに例えて紹介した。例えば、さまざまな家電製品に対応するため、コンセントの規格は1つに決まっているが、同様にコード決済も規格を定めることで便利に利用してもらうことができるとした。また、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大が続く中、そういった変化に対応するためには、人々も進化していく必要があるとしたうえで、JPQRをはじめとして生活環境を整え、生き方を変える手伝いをしていきたいと意気込みを述べた。
総務省は決済事業者の足並みを揃えた展開に期待
なお、今後のJPQRの普及が期待される中、一部の決済事業者では企業独自に設置するQRコードの手数料を無料にする一方で、JPQRには手数料を設けている。そのため、複数のコードが店舗に掲示される可能性もメディア等で指摘されている。
例えば、PayPayは、自身が設置するQRコードは小規模店舗の場合は無料で設置しているが、JPQRの場合、2021年3月までは1.99%、それ以降は2.59%と設定している。この点に対し、総務省 情報流通行政局 情報通信政策課 調査官 飯倉主税氏は、どちらを選ぶかは店舗の選択に委ねるとしたうえで、「小規模店舗にとっては手数料が安いのに越したことはないため、PayPayに限らず、各決済事業者の手数料の引き下げについてお願いしていきたい」と述べ、足並みを揃えた展開を期待した。