2020年8月3日8:15
モスフードサービスは、2020年7月27日より8月下旬までの約1カ月間、オリィ研究所の協力を得て、外出困難者が遠隔操作型の分身ロボット「OriHime」により接客する「ゆっくりレジ」を、平日の時間限定でモスバーガー大崎店に実験導入している。
2名のパイロットが遠隔操作でメニューを受ける
モスフードサービスでは、2018年11月にセミセルフレジ、2019年12月よりフルセルフレジを一部店舗において導入しているが、来店客自身で端末を操作して入力するため、どうしても機械的になりがちだという。また、近年はAI(人工知能)ロボットなどが操作を行うサービスも登場しているが、人ならではのあたたかみのある接客までは難しい部分もある。同社広報は「OriHimeを利用することで、モスバーガーらしい、人と人のあたたかいコミュニケーションが実現できると考えました」と実験の経緯を説明する。
「OriHime」は、全長約 23cmの分身ロボットとなり、子育てや介護、身体障がいなどの社会的ハンディキャップにより外出困難な人の分身として、遠隔地であってもあたたかみのあるコミュニケーションを可能にする。
モスバーガー大崎店の「ゆっくりレジ」では、レジに「OriHime(オリヒメ)」を2台設置。1台はレジカウンター、もう1台は車椅子の利用者や子供が使いやすい高さに設置し、来店客によって対応のOriHimeを切り替えている。平日 14時~18時の間、2名のパイロットが、大阪府、兵庫県から交代でOriHimeをそれぞれ遠隔操作し、来店者からの注文を受け付けている。
パイロットは、来店客と会話しながら希望のメニューを聞き、PCに入力することで、決済を行う有人レジの担当者にメニューを受け渡している。OriHimeのカメラでは来店客の映像を映し出しており、「右を向く」「手をばたばたさせる」といった指示が可能だ。
外出が難しい人の雇用の機会も創出へ
同社広報は「現在は実証実験として、お客様にどのようなニーズがあるのか、どういったオペレーションがふさわしいのかを検証しています」と説明する。人手不足の解消としては、介護や子育てなどで外出が難しい人の仕事の課題を解決できる可能性もある。
なお、オリィ研究所では、2018年に「OriHime」がオーダー、給仕などの接客を行う「分身ロボットカフェ」を期間限定で開催し、重度障害者を雇用するなど、分身ロボットを活用した新しい働き方の実証実験を行った実績がある。今回は実際の小売店舗での初の実証実験となるが、メディアで取り上げられる機会も多く、オリィ研究所には他の小売店舗からの関心も寄せられているという。
モスフードサービスでは、今回の実証実験の結果を踏まえ、将来的にシステムを改良することで、OriHimeにより注文から決済までを完結できる機能の実現を目指していきたいとしている。