2011年6月10日14:07
ソニーは、2011年6月10日、非接触ICカード用の次世代FeliCa ICチップを開発したと発表した。同ICチップは、カードとリーダライタ端末間の相互認証と暗号通信において、従来のDES(Data Encryption Standard)暗号方式に加え、AES (Advanced Encryption Standard)暗号方式を備え、セキュリティをさらに強化した。また、先進のプロセスとIC設計技術の最適な組み合わせにより、メモリ容量は6KB、ユーザーメモリは255ブロックでありながら、従来の4KB、154ブロックのICチップと比較して、より低価格化を実現している。
非接触ICカード技術「FeliCa」は、カードや携帯電話上の機能として、交通乗車券や電子マネーなど高いセキュリティと性能が重視される市場で広く普及しており、これまで累計5億個以上のカードチップおよび携帯電話用のモバイルFeliCaチップを出荷している。
次世代FeliCa ICチップは、カードとリーダライタ端末間の暗号通信において、AES暗号方式を備えることで、セキュリティのさらなる向上を実現。また、最新の耐タンパー技術を搭載し、セキュリティに関する国際標準規格であるISO/IEC15408の評価保証レベルEAL5+以上を取得予定だ。
従来品に比べてさらに低消費電力を追求したことで、交通乗車券や電子マネーなど、あらゆる用途に適用可能な高速処理と通信性能を実現した。また、不揮発性メモリに自動エラー訂正機能を搭載したことで、メモリデータの信頼性をより一層向上させたという。
さらに、新FeliCa ICチップを搭載したカード製品は、現行のFeliCa ICチップのDES暗号方式に対応したコマンド群や暗号化なしコマンド群と互換性を確保しており、現在のDES暗号方式に対応したリーダライタとの暗号通信や、FeliCaポートなどの非暗号ベースの通信など、現行のインフラを従来通りに使用することが可能だ。また、DES暗号方式をベースとした現行システムからAES暗号方式をベースとした新システムへ移行するためのセキュリティマイグレーション機能を備えている(図)。
なお、ICチップのOSについては、JR東日本グループからの協力を得て仕様を策定している。ソニーでは、新FeliCa ICチップのサンプル出荷開始を今冬に、量産を2012年春に予定している。