2011年6月15日11:08
NXPセミコンダクターズ(NXP)は2011年6月10日、自動車用多機能キー向けシングルチップソリューション「NCF2970(KEyLink Lite)」の生産準備が完了したと発表した。KEyLink Liteは、NFC(Near Field Communications)に対応している。これにより、自動車メーカーは携帯電話やタブレット機器、ノートパソコンなどのNFC対応の外部機器と接続可能なキーなどと連携できる。
ドライバーはNFC対応のモバイル機器に自動車キーをかざすだけで、自動車の情報にアクセス可能だ。NFC規格に基づいて13.56MHz帯の周波数とHitag-3やAES-128といった暗号化技術を利用しており、機密性の高いデータのやり取りを可能にしている。KEyLink Liteは、NFCの機能とリモートキーレスエントリー(RKE)技術やパッシブキーレスエントリー(PKE)技術の組み合わせにより、NFC対応モバイル機器で自動車キーに保存したデータを編集・閲覧するなど、数多くの新たな用途を可能にしている。
KEyLink Liteのキーには自動車を最後に駐車した場所のGPS座標が記録されており、後でこれをNFC対応携帯電話で読み込み、Googleマップなどのサービスを利用して近隣の地図をダウンロードすることで、自動車の位置を特定できる。また、自宅のパソコンから目的地を入力して、NFC経由でデータをキーに転送する。自動車に乗ると、目的地は自動的にカーナビにアップロードされるため、カーナビのスクリーンを操作する面倒な作業は必要ないという。さらに、NFC対応の携帯電話にキーをかざすだけで、燃料の残量を確認できる。
そのほか、自動車キーを介して、故障情報などの診断データを自動車からパソコンに転送し、サービスサイトにアップロードすることで、数秒で診断分析が行える。また、自動車メーカーがあらかじめ自動車に組み込んでおいたアップグレードサービスを、購入後に利用できる。例えば、自宅からオンラインでリクエストすることで、自動車メーカーから許可を取得し、キーに新機能が保存される。これらの新機能は、次に自動車に乗ると自動的に利用できるようになるという。