2012年4月16日15:51
大日本印刷(DNP)のグループ会社であるDNPデジタルコムは、JR東日本と共同で、AR(拡張現実)技術とスマートフォンを活用して、利用者が駅構内での正確な位置を把握できるシステムを開発したと発表した。両社は同システムを利用し、東京駅の利用者を対象として、駅構内の案内機能、運行情報や乗り換え経路の検索機能などを搭載したスマートフォン用アプリ「JR×AR」を無料で提供し、その有用性や使い勝手などを検証する実証実験を4月16日~6月30日まで実施する。
GPS(全地球測位システム)機能を搭載したスマートフォンでは、位置情報を基にした現在地確認やルート探索などのサービスが利用できる。しかし、平面の位置情報しか取得できないため、地上や地下に複数のフロアを持つ施設内では正確な位置の把握が困難だった。東京駅は、地上と地下に多くの乗降用プラットホームがあり、「エキナカ」と呼ばれる商業施設も広大なため、複雑な駅構内で遠方の生活者も迷わないようにするには、生活者が現在地をより正確に把握し、行きたい場所に的確に案内してもらえるサービスが求められていたという。
DNPデジタルコムとJR東日本ではこうしたニーズに応え、GPSによる位置情報の取得が困難な駅構内でも、ARを利用して正確な位置情報の把握と駅構内の案内ができるアプリJR×ARを開発した。
利用者は、GPSの電波が届きにくいエリアやWiFiアクセスポイントがないエリアでも、専用のARマーカーを読み取るだけで現在地を確認することが可能だ。このマーカーは、貼付する場所に応じてデザインを変えたシール形状の印刷物である。表示するコンテンツをサーバ側で更新するため、マーカーを変更する必要がなく、コストを抑えた迅速な最新情報の提供が可能になる。
また、位置情報のほか、駅構内地図や「エキナカ」の店舗、列車の運行情報、乗り換え経路探索、時刻表や路線図など、駅利用者にとって利便性の高いサービスを提供するという。
ショップリストには、「お食事・軽食」「弁当・惣菜・ベーカリー」「おみやげ」など、7種のジャンルに分類された東京駅構内の情報を登録。「おみやげ」などのジャンルから店舗を選ぶと、現在地から店舗までの位置を構内地図上で確認可能だ。
DNPデジタルコムは、JR東日本との実証実験を通してAR技術の有効性や利便性の評価を行い、今後の実用化につなげていきたいとしている。