2020年11月24日20:24
学校法人近畿大学、NTT、NTTドコモ、NTT西日本、NTTデータの五者は、第5世代移動通信システム(5G)の実証実験および高度な情報通信技術(ICT)を活用したスマートシティ・スマートキャンパスの創造及び教育・研究、そして地域社会の発展を目指し、2020年11月24日に、連携協定を締結した。
近畿大学はこれまで、スマートキャンパスの実現に向けて、日本の大学に先駆けてインターネット出願、VISAプリペイド機能付き学生証の発行、Amazonでの教科書販売、コンビニでの各種証明書発行、キャンパスのキャッシュレス化など、先進的なICTの取り組みを進めてきたという。今後、従来の取り組みに加えて、都市・地域が抱える課題を明らかにし、その諸課題を解決するため、第四次産業革命・Society5.0の社会実装に向けた実証実験の場としてさまざまな企業、団体等に大学キャンパスや病院などを積極的に活用してもらう取り組みを開始する。
近畿大学の6つのキャンパスでは、計3万人以上の学生や教職員が活動を行っている。また、夜間や休暇期間にはこれらの広大な敷地にほとんど人がいない状態になる。こうした環境を仮想の都市空間と捉え、さまざまな制限により実際の市街においては困難な実証実験の場として提供することにより、スマートシティ・スマートキャンパス実現の促進に貢献するという。また、そうした実証実験に関わることにより、近畿大学の教員や学生が大きな刺激を受け、大学の新たな可能性を広げることとなるそうだ。
このほど、五者の包括連携協定により、それぞれの持つ人材や知識・教育・研究などの資源を活用し、相互に協力して、近畿大学内での5Gの実証実験等を通じてスマートシティ・スマートキャンパスの創造及び教育・研究への展開、そして国内における5Gの普及、地域社会・国際社会の発展に貢献すべく、取り組みを進めるという。また、仮想の都市空間ともいえるキャンパスを、設置した5G環境も含めて、地域の企業やスタートアップ企業が実証実験などで利用できるよう開放する。
同協定に基づく第一弾の取り組みとして、NTT・NTTドコモ・NTT西日本・NTTデータが保有する5GやIoTなどの最先端技術を活用し、近畿大学6キャンパスにて、さまざまな取り組みを行う。
NTTドコモでは、近畿大学病院と関連病院であるくしもと町立病院間で、5Gを活用した高精細画像のリアルタイム送受信を行い、へき地での遠隔医療支援の実証実験を行う。また、近畿大学水産研究所の生簀内に水中ドローンを設置し、完全養殖マグロの状態監視の実証実験を行うという。
NTT西日本では、近畿大学6キャンパス内で、全学生の同時接続を想定したWi-Fi環境整備やオンライン・オンデマンド講義の導入により教育現場のデジタルトランスフォーメーションを推進する。また、近畿大学オリジナルのデジタル教材を制作支援・配信し、学校教育、リカレント教育のコンテンツ充実を推進するそうだ。
第一弾の取り組みに加えて、今後は、近畿大学キャンパスを活用したスマートモビリティおよびドローンビジネスを推進する。また、近畿大学キャンパス周辺企業や地域社会と連携し、5Gオープンイノベーションの推進を図り、5Gの発展に貢献していきたいとした。さらに、実証実験・研究成果を教育活動にフィードバックし、Society5.0時代に必要となる、高度なICT技術を活用できる人材育成を行うとしている。