2020年12月18日8:00
スマホ決済サービス「メルペイ」を展開するメルペイと、クリーニング業界最大手のフランチャイズチェーン「ホワイト急便」を運営する日本さわやかグループは、2020年12月16日から、ホワイト急便綱島本通店において、「メルカリ」で売れた商品が発送できる無人投函ボックス「メルカリポスト」を設置している。また、ホワイト急便では、「メルペイ」のコード決済を全国約2,000店舗で提供開始した。
リアルでタッチポイントを作る取り組みを実施
記者説明会ではまず、メルペイ 執行役員VP of Sales & Business Development 金 高恩氏が登壇した。メルカリの月間利用者は1,755万人いるが、メルペイは800万人強の利用者を有し、174万カ所で利用できる。また、同社とマクロミルとの共同調査の結果によると、他のペイメント事業者は30代の金融リテラシーが高い人を中心に利用されているのに対して、メルペイは10代、20代が多く、男女比は女性の構成比が高いとした。メルペイでは、コンビニや外食チェーンに加え、東京・高円寺や巣鴨、岐阜・飛騨高山、石川県金沢市など、商店街や加盟店とのキャンペーンを展開している。
メルペイでは、メルカリで物を売って、売上金を店舗やネットショッピングで使ってもらうサイクルを繰り返すことで、循環型社会/地域経済活性化のサイクルを構築しているとした。一方で、メルカリへの出品意向はあるが、未出品の人は3,610万人いる。メルカリでは、機械学習を利用した「AI出品」・「バーコード出品」機能や、メルペイ「ネット決済」利用でメルカリの「持ち物リスト」に連携される「かんたん出品連携」機能を提供し、出品を簡略化させることで、サービスの利用を促している。さらに、丸井において「メルカリステーション」、無人投函ボックス「メルカリポスト」の運用などを展開することで、リアルでのタッチポイントを作る取り組みを行っている。
「クリーニング済」「お直し済」のキーワードを含めてメルカリ出品が増加
今回のホワイト急便での施策開始の背景として、メルカリ内において、商品の説明欄に「クリーニング済」や「お直し済」といったキーワードを含めて出品をしている商品の件数が、2年間で約1.3倍に増加しており、メルカリの出品者におけるリペアサービスへの需要が高いことが分かったという。売り手はもちろん、購入側に安心して買ってもらうために、メルカリ利用者にとって身近なクリーニング店であるホワイト急便と連携することとなった。
両社の連携では、ホワイト急便綱島本通店に「メルカリポスト」を設置し、さらに梱包資材を配布する。これにより、メルカリ利用者の発送作業がより手軽になる。クリーニング店では店舗への来店促進を見込むことができる。また、メルペイ加盟店である「ホワイト急便」と実証実験を行うことで、メルカリとメルペイのシームレスな顧客体験を実現し、不要になった物をクリーニングしてからメルカリで出品し、ホワイト急便の店舗でクリーニング受け取り後に発送するというサイクルを実現することで、双方の利用促進にもつながると期待している。
メルペイでは、12月15日から、ホワイト急便全国2,000店舗でクリーニング代をメルペイコード決済で支払うと、メルカリの梱包資材セットをプレゼントするキャンペーンも行っている(各店で梱包資材セットの在庫がなくなり次第終了)。
クリーニング業界の現状は?
続いて、日本さわやかグループ 次長 馬場将晴氏が、クリーニング業界の現状とメルペイとの連携の経緯について紹介した。日本さわやかグループでは、地域に根差したクリーニング店として「ホワイト急便」6,000店舗を展開している。クリーニング業界では現在、オフィスカジュアルの普及や形態安定シャツなどの登場で、スーツやYシャツ、コートなどビジネス衣類の需要が減少している。また、コロナ禍で、休校対策や在宅ワーク䛾普及などによる個人客のクリーニング需要も低下傾向にあるそうだ。
クリーニング市場は25年以上も縮小が続いている。特に若い人がクリーニング店を使ったことがないというアンケート結果も出ている。しかし、日本人の健康を守り、健康を維持するためにクリーニングは必要で、メンテナンスして長く使ってもらうことは地球保全にも役立つとした。
全国区のネットワークが強み
ホワイト急便の強みは、地方も含め、全国区のリアル店舗のネットワークを誇ることだ。コロナ禍でネット通販の取り扱いは伸びているが、自宅への配送だけですべてが賄いきれなくなる可能性もあり、コンビニエンストアもカウンターの面積に限りがある。そのため、ホワイト急便綱島本通店を実証店舗として、梱包自体を店頭で販売し、メルカリポストを設置することとなった。
ホワイト急便のキャッシュレスの状況は?
なお、ホワイト急便では、キャッシュレス決済サービス「PayPay」をはじめ、クレジットカード、交通系等の電子マネーを導入してきた。現状のキャッシュレス比率は直営店舗のデータで5~6%程とまだまだ少ない。その理由として、馬場氏は「今の客層が40代、50代、60代が中心です。都心部が少なく、地方の比率が多いのが当社の特徴です」と説明してくれた。今回のメルペイとの連携は、ャッシュレスはもちろん、それ以外の部分も含めて大きなメリットがあるとした。