ギフト市場における紙媒体とデジタル化(デジタルペイメント・マーケティングを編む)

2022年2月16日8:30

国内でも紙のギフト市場のカード化やデジタル化が進んでいる。同分野でのコンサルティングや執筆、講演などで多数の実績のあるカード戦略研究所 中村敬一氏にギフト市場における紙媒体とデジタル化についてまとめてもらった。

カード戦略研究所 中村敬一

記事のポイント!
①商品券・ギフト券市場は?
②紙がギフト券に完全に置き換わらない理由
③サーバ管理型の新たなギフト券やカード市場の動向
④ノベルティギフトの行方
⑤今後はメールタイプやチャージタイプが成長
⑥期待される市場は?
⑦高額なデジタルギフトの取り扱いも課題に

商品券・ギフト券市場

紙媒体を利用した商品券・ギフト券市場は約5,000億円強あると推定される。全般的傾向としては下がり気味の傾向である。

資金決済業協会「統計委資料」より

主な商品券・ギフト券市場の種類は、クレジットカード会社の発行するギフト券(国際ブランド付)、百貨店共通商品券が数千億円単位で、あとは数百個億円単位から数億円、それ以下の地域商品券まで多種多様だ。(amazonギフト等は紙媒体ではない)

全国百貨店共通商品券(日本百貨店協会HPより)

一方でプラスチックカードを媒体としたギフトカードが百貨店やクレジットカード会社から発行されているが、当初期待された伸びはなく、紙媒体の凹みを補完するまでには、一部を除き至っていないようだ。

百貨店ギフトカード(日本百貨店協会HPより)

この2年間のコロナ禍では、総需要の低減化が影響し、紙媒体の商品券・ギフト券は低迷している。それでも5,000億円強あることが不思議なくらいで、キャッシュレス化、カード化時代の現在に、なぜ生き残っているのか。

紙媒体とプラスチックカードとの比較

今更ながらとの思いもあるが、米国などでは紙媒体のギフト券はなくなり、ほとんどがプラスチックカードに入れ替わり、爆発的にギフトカードが発行されているという。

日本では代表的な百貨店商品券やクレジットカード会社のギフト券は、相変わらずプラスチックギフトカードには入れ変わっていない(紙と並行してカードを発行するケースもあり)。どこに、その要因があるのか、考えられる点をいくつか挙げてみたい。
① 発行者側が全て紙媒体を廃止して、プラスチックカード型に変更すれば、消費者側の反応は別にして、すべて紙媒体は消える。ただ同発行額がプラスチック型で担保されるとは限らないが紙媒体を利用する限り紙媒体は残ると考えられる。
② ギフト商材としての紙媒体である商品券を贈答する場合に、例えば5万円を商品券で贈るシーンを考えると、1,000円×50枚で、ラッピングなどで価値観があるが、ギフトカードの場合には、少額のカードと同様のデザインで、包装も限界がある。
③ 贈られた方も、5万円のギフトカードであると、1人でしか使えないが、商品券の場合は家族に分割して使えるなど、使い勝手がよい。
④ ギフトカードは使い切りのため、最後まで使い切れず残額が発生しやすい。同系統の電子マネーではリチャージが可能で、ギフトはギフトで商品券の方が、ありがたいとする声が多い。
⑤ 長年の商品券の歴史、慣習がギフトカードを上回っている。
⑥ 法人需要の件や金券ショップの流通で、商品券が定着しており、ギフトカードの需要が伸びない。

新たなギフト券・カード市場動向

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