2022年3月3日8:00
100店舗超が導入、利用比率2割、購入点数・客単価アップに貢献
イオンリテールは、利用者自身がスマホで購入商品のバーコードをスキャンし、専用レジで会計をする「レジゴー」を開発し、2019年から展開を開始。現在、グループ企業108店舗が導入している。2021年には専用アプリをリリースし、店頭設置のレンタルスマホだけでなく、自身のスマホで「レジゴー」を利用することも可能になった。導入店舗では来店客の2割が「レジゴー」を利用。利用客の購入点数はそれ以外の顧客の1.3倍、客単価は115%に上っている。「レジゴー」アプリには今後「イオンお買物アプリ」と連動したクーポン配信や、レコメンドの機能の追加などの展望がある。これにより「レジゴー」の利用者比率が3割程度まで拡大することを期待している。
スマホでスキャン、スピーディに会計
来店客の2割がコンスタントに利用
イオンリテールは、スマホを使って利用者自身が購入商品のバーコードをスキャンし、専用レジで決済を完了する「どこでもレジ レジゴー」(以下、レジゴー)を開発。2019年5月にイオンスタイル幕張新都心のフードストアに実験的に導入したのを皮切りに、2020年3月より本格展開を開始。現在、同社店舗74店、グループ全体では108店が導入している。
「レジゴー」利用者は店頭の「レジゴーポート」からレンタルスマホを取り、ショッピングカートのスマホホルダーにセット。購入商品をカートに入れる都度、自身で商品のバーコードをスマホのカメラで読み取っていく。バーコードの付いていない商品はスマホ画面のタッチパネルから選択。同じ商品を複数購入する場合はスマホ画面で数量を変更。購入を取りやめることにした商品の削除も、簡単な操作で行える。商品を選び終えたら「お支払い」ボタンで画面を切り替え、専用レジで支払い用バーコードをスキャン。クレジットカード、電子マネー、現金のいずれかで会計を済ませ、画面に表示される会計済みチェック用のバーコードをゲートにかざして買い物が完了。「レジゴーポート」にレンタルスマホを返却して終了となる。2021年4月には「レジゴー」アプリがリリースされ、自身のスマホを使って「レジゴー」を利用することも可能になった。
導入店の「レジゴー」利用率は、レンタルスマホでの利用者が購入客全体の17%、アプリでの利用者が3%の、合わせて20%。利用促進のプロモーションも行わず、利用によって割引などの特典が付くこともない。ただ、1台当たり30機のレンタルスマホを陳列できる「レジゴーポート」そのものがPR媒体の役割を果たし、「『これは何だろう?』と好奇心を抱いたお客様がスマホを手に取って自主的に使い、その体験に満足して、継続して利用してくださっているようです」とイオンリテール 執行役員 システム企画本部長 山本 実氏は説明する。
「レジゴー」利用者は客単価が高い
レコメンドなど機能の追加も検討
「レジゴー」を利用するのは店舗の中心顧客層である子育て世代の主婦が最も多いが、男性も目立つ。
「レジゴー」では利用者が買い物をしながら商品の登録を済ませるので、専用レジでは決済するのみ。利用者のキャッシュレス比率も高いため、最短20秒程度で決済が完了し、レジに列ができるようなことはほとんどない。しかし入店から会計終了までにかける時間を比較すると、「レジゴー」利用者のほうがそれ以外の利用者より長いことがわかっている。店内の歩行距離が長く、特に調味料や菓子といった加工食品の購入が多いのが特徴だ。「レジゴー」非利用者と比べて購入点数は1.3倍、客単価は115%。これは導入店全店共通の傾向だ。スマホに逐一購入商品のリストと総額が表示されるため、商品の買い忘れや買い控えがなくなることも、客単価アップの要因になっていると同社は見ている。
同社は「レジゴー」アプリを2022年度中にも「イオンお買物アプリ」と連動させ、クーポンの利用などができるようにしていきたい考え。また、時期は未定だが、イオンのトータルアプリ「iAEON」の中に、ミニアプリとして「レジゴー」が組み込まれる計画もある。
カード決済&セキュリティの強化書2022より