2022年3月7日9:00
Mastercardの丸山氏が、クレジットカード不正利用の国際的な動向を紹介。不正利用が対面から非対面にシフトする中、3Dセキュアの導入が進む国では不正が減少傾向に。対策が出遅れ、不正の標的になっている日本は、これ以上被害が広がる前に早急に手を打つべきと警鐘を鳴らす。(2022年2月10日開催「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2022」より)
Mastercardディレクター サイバー&インテリジェントソリューションズ(C&I)丸山秀幸氏
不正被害は対面から非対面に大きくシフト
日本は不正利用比率が他国に比べ突出して高い
Mastercardの丸山と申します。クレジットカード不正利用とセキュリティ対策の最新動向について、お話しいたします。
日本クレジット協会で発表しているデータによると、Eコマースにおける不正利用被害額は、2014年度には115億円だったものが、2020年度には253億円と倍以上に増加しています。2021年度は3月時点の発表で156億円なので、仮に倍になると300億円を超える見込みです。このように日本の不正利用被害額は減少する気配がありません。経済産業省がオブザーバーとして参加しているクレジット取引セキュリティ対策協議会でも対策を協議していますが、これが功を奏しているかいないかは一目瞭然といったところです。
中でも増えているのが番号盗用による不正利用です。これが全体の9割近くを占めています。偽造カードのような被害は減って、不正利用が対面から非対面に移っているという傾向はグローバルも同じですが、日本でも顕著だということです。
2018年から2020年までの国・地域別の動向を見てみます。Mastercardでは世界全体と、3つの国と5つの地域別に、加盟店ベースの取扱件数に占める不正の割合を集計しています。詳しい内容はお伝えできないのですが、国際的に見て、日本の加盟店における不正利用比率は、ほかの国・地域と比較して突出して高くなっています。なおかつほかの国・地域はやや減少傾向にあるのに対し、日本はまったく減っていません。
今一度危機感を持っていただいたほうがいいと思うのは、不正被害という言い方をしますが、これは大半が犯罪の被害です。個人がどこかでたまたまカード情報を知って不正に使ってしまったという話ではなく、国際的・組織的な不正行為ですので、国としても真剣に対策を立てなければならないと考えています。
世界で実証されている3DSの効果
早急に3分の1を超える導入率の実現を
では、どのような対策をとればいいのでしょうか。クレジット取引セキュリティ対策協議会などでも、必ず新しい方策が求められます。しかし弊社からすると、重要なのは足元です。
まず何をやらなければならないかといいますと、EMV 3Dセキュアです。これに間違いありません。EMV 3Dセキュアの導入率が高い国・地域、低い国・地域では、不正被害率がまったく違います。日本は早急にEMV 3Dセキュアの導入を進める必要があります。
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