2011年2月10日7:55
アメリカン・エキスプレス:消費者支出の展望(1)
アメリカン・エキスプレス:消費者支出の展望
~思索を経て購入に至る新時代の到来~
概要
急激に変化する世界の動向を受け、アメリカン・エキスプレスは、The Future Laboratory(ザ・フューチャー・ラボラトリー)の一部門であるFuture:Poll(フューチャー:ポール)に依頼し、日本、米国、英国、カナダ、オーストラリア、メキシコの主要6大マーケットにおいて、今後の消費者支出の傾向とその変化がもたらすインパクトを探った。
その結果分かったことは、世界の消費者が根本的に大きく変化しており、この50年間の世界経済の比類なき成長を牽引してきた資本主義のモデルが見直されているということだった。消費者の好みはより明確になり、地域に根ざしたものや信頼できるもの、そして意味ある体験を求めている。また、テクノロジーを新たな形で用いて比較・検討し、ショッピングをするようになってきている。このような消費者が、支出、価格決定、商品アクセスのルールを作り変え、人々の生活様式に革命的な変化をもたらし、地方や地域経済に影響を与え始めている。このレポートは日本市場に的を絞り、今後の消費者の支出の傾向と新時代の消費行動に関する詳細な調査の結果をまとめたものである。
調査は定量および定性調査を組み合わせ、膨大なデスクリサーチとビジュアルリサーチ、オンラインでの消費者調査、専門家へのインタビュー、消費者ケーススタディーを実施した。デスクリサーチでは世界中から情報を探り、消費者の類型、新たなトレンド、そして市場への影響の実例を特定し分析した。ビジュアルリサーチでは、トレンドを表す日常のシンボルやサインを記号理論を用いて分析した。それらを総合することによって、文化的、経済的、技術的、社会的要因がどのように消費者に影響を与え、そこからどのように新しい購買行動の傾向が作られているかが明らかになる。
調査は2010年8月に、6カ国それぞれにおいて18歳以上1,000人、合計6,000人を対象に実施された。特に表記がない限り、このレポートのデータはすべて上記の調査から得たものとする。
はじめに
40年間にわたり世界第2位の経済大国であった日本が、今年はじめにその地位から陥落したことは多くの影響を与えた。この移行は、中国の新興産業の実力を示しただけでなく、近年日本を苦しめてきた深刻なマクロ経済要因に再びスポットライトをあてることとなった。長引くデフレや人口の高齢化と減少が回復の活力を奪い、日本の経済停滞を引き延ばしている。
この長引く混乱と不安が取り巻く中、日本の消費者は将来の見通しが持てず、戦後の経済モデルのさまざまな局面に疑問を抱き始めている。日本は、国民1人当たりの所得は中国の10倍あり、世界で最も裕福な市場のひとつであることには変わりない。しかし、消費者動向と支出態度に根本的な変化が起きている。消費者は新しい自分らしさを求め始め、ステータスを追及する高級品志向のマスマーケットや、性別・キャリア・ステータスなどの社会的属性をベースとした伝統的概念は、常識として通用しなくなった。