Giesecke&DevrientとCCC規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステム(アルプスアルパイン)

2022年4月27日9:12

アルプスアルパインは、セキュリティ技術でグローバルに事業を展開するドイツのGiesecke&Devrient(ギーセッケ アンド デブリエント)とCCC(Car Connectivity Consortium)のグローバル標準規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステムを共同開発した。2025年発売の新車への採用を目指して、自動車メーカーへのデモ機を利用した拡販活動を進める。

CCC規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステム(アルプスアルパイン)

CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)やMaaS(Mobility as a Service)の変革期にある昨今の自動車業界では、自動車は移動サービスの一要素となり、カーシェアリングを始めとしたさまざまなサービスが増加・普及していくと想定されている。この動きに伴い、スマートフォンを自動車の鍵として利用することで物理的な鍵の受け渡しを不要とするワイヤレスデジタルキーシステムのニーズが高まる一方で、悪意ある第3者によるサイバー攻撃や鍵の盗難を防ぐ高度なセキュリティ対策が求められている。また、自動車に捉われず移動に付随するさまざまなサービスの解錠/施錠を統合したシステム構築が必要となってきており、その開発はさらに複雑さを増しているそうだ。

さらに、自動車の純正品としてワイヤレスデジタルキーシステムを採用するためには、すでに欧州プレミアムカーを中心に導入が進んでいるCCCのグローバル標準規格に準拠したシステム構築が求められており、各スマートフォンメーカーでも同規格に対応する準備が進められている。同規格にはICクレジットカードやモバイル決済で利用されるようなセキュリティ技術が盛り込まれており、車載通信デバイスに加え通信セキュリティ分野における深い知見と高度な技術が求められるという。

アルプスアルパインでは、創業当初から培ってきた高周波技術を応用して、車載向けの各種通信モジュールやキーレスエントリシステムを開発してきた。この実績を活かして、2018年からワイヤレスデジタルキーシステムの開発に着手しており、フリービット社と提携して開発したブロックチェーンを活用したワイヤレスデジタルキーシステムにおいては、車載器から鍵配信技術に加え、管理者や利用者の鍵管理システムやスマートフォンアプリまで一括提供可能だ。社有車管理向けソリューションとして実際に車両搭載して実証実験を進めている。

一方、ギーセッケ アンド デブリエントは、アナログおよびデジタル決済処理における信頼性の高い保護技術をはじめ、インターネット上における人と機械のデジタルな通信接続、個人情報の保護と管理、セキュアなデジタルインフラストラクチャ―などに関するセキュリティソリューションを開発するドイツの大手企業だ。自動車のテレマティクス分野における主要企業としては、業界初のデュアルSIMデュアルアクティブ(DSDA)ソリューションを開発した。中国では、新興の電気自動車メーカー向けのデジタルカーキーを他社に先駆けて提供。CCCのグローバル標準仕様に準拠する高いセキュリティ構築技術とワイヤレスデジタルキーシステムの経験を有している。

これら両社の強みを生かして、2020年12月よりCCCのグローバル標準規格に準拠したワイヤレスデジタルキーシステムの共同開発に着手した。同共同開発において、ギーセッケ アンド デブリエントはサーバー側でのセキュアなデジタルキーの鍵発行・管理システムを開発する。アルプスアルパインでは自動車とスマートフォンを通信接続するための各種通信モジュールとECUで構成されるキーレスエントリシステムに加え、スマートフォン側での鍵生成および保存のためのソフトウェア開発キットを開発。また、ギーセッケ アンド デブリエントが開発したシステムをサービスとして構築し、利用者に提供する。運用開始後のサーバーの管理・運営も行う。

同システムは、2025年発売の新車への採用を目指し、デモ機を利用して拡販を進める。また、CCCが最新の規格として検討している「Digital Key Release 3.0」への対応を進めており、大手スマートフォンメーカーが開発する規格への対応も目指す。さらに、自動車以外のパーソナルモビリティや住宅など移動に付随するさまざまな鍵の解錠/施錠ソリューションとしても提案を行うことで、ユーザーの快適かつセキュアな移動につなげていきたいとした。

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ペイメントナビ編集部

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