GENDA GiGO Entertainmentが秋葉原と池袋のコミュニティ通貨発行で目指す世界とは?

2022年8月22日8:00

GENDA GiGO Entertainmentは、2022年1月26日からカヤックが開発したコミュニティ通貨(電子地域通貨)サービス「まちのコイン」を利用したコミュニティ通貨「アキコ」を秋葉原地域に展開している。2022年9月9日から、池袋地域でも同スキームを活用し、「イケコ」のサービスを開始する。アキコやイケコは、法定通貨への換金性が無い、コミュニティ通貨サービスだ。同社ではゲームセンター「GiGO(ギーゴ)」を運営しているが、サービスでもゲーム性を意識しているのが特徴だ。

GENDA GiGO Entertainment都市SC営業部 営業企画部 榊浩一郎氏

記事のポイント!
①秋葉原のコミュニティ通貨「アキコ」、利用者は1年の目標を半年で達成
②コロナ禍の中、企業や店舗が共闘して相互送客を促進
③お金で買えない嬉しい体験が可能に
④法定通貨への換金性がなく加盟店の原資が不要
⑤送客面でゲームセンターとの相性の良さを実感
⑥スポットに通貨発行の目的を理解してもらうのが課題
⑦「アキコ」で100のスポットを今年度中に達成へ
⑧9月9日から「イケコ」を池袋で開始
⑨池袋で魅力的なプログラムを提供できるポテンシャルを感じる
⑩スタンプラリー機能の活用も今後検討
⑪将来的に2つのコインの連携は?

初年度のユーザー目標数は半年で達成
秋葉原にある企業や店舗がコロナ禍で共闘

アキコは、秋葉原のさまざまなカルチャー体験ができるスポットで貯めることができるコミュニティ通貨だ。秋葉原にある「GiGO」4店舗に加え、神田明神(神田神社)、秋葉原ワシントンホテル、スーパーホテルpremier秋葉原、とらのあな、などがスポットとなっている。利用者は、「まちのコイン」アプリをダウンロードし、QRコードを介してコインを獲得し、貯めたコインを利用可能だ。2022年6月1カ月間でのチェックイン総数は1万2,000回。アクティブユーザーは250~300人ほどとなり、1人で10カ所回る人もいる。ユーザー数は当初1年で3,000名を目指していたが、7カ月で目標数を突破するなど利用者に好評だ。また、スポット数は開始1年で100を目指しているが、当初の約30から68へと拡大しており、想定通りに伸びている。さらに、直近12週間コイン流通量は956万8,396となっている。

「まちのコイン(通貨名:アキコ)」

同社がアキコを開始したのは、カヤックから提案を受けたのがきっかけだった。新型コロナウィルス感染拡大の影響で街に訪れる人が減り、店舗が苦境に立たされていたため、何とか打開できないかと考えた。秋葉原はポップカルチャーの中心で、個性的な店舗も多いが、横のつながりはそれほどない地域だった。同社が中心となり、秋葉原にある企業や店舗が共闘し、相互送客を促進することで、コロナ禍で落ち込む街を盛り上げていくことが狙いだ。

お金で買えない体験を提供
SDGg貢献につながる取り組みは継続して開催

アキコでは、お金で買えない嬉しい体験をゲームのように楽しめるのが1つの特徴だ。各スポット共通で「来店で50アキコ(1日1回限定)」を付与したり、GiGO 秋葉原4号館(9月25日に閉館予定)で 「エコバック持参で景品獲得したら200アキコ」といったように楽しみながらコインを貯めることができ、貯めれば貯めるほどレベルがアップする。

例えば、神田明神では、2,000コインを利用して「神職と一緒に祝詞(のりと)を奏上しよう!」というイベントに参加できる取り組みを行った。GENDA GiGO Entertainment都市SC営業部 営業企画部 榊浩一郎氏は「普段は参加できない特別なイベントに参加できるのもアキコの魅力です。スポットが素敵な体験をたくさん作ってくれています」と笑顔を見せる。

2つめは、SDGsに根差したテーマである点だ。ゲーム感覚で自然と地域活動に参加できる。ボーナスポイントが付与されたり、ポイントが増えるとレベルアップしたりと、ゲームのように楽しみながら、自然と地域活動に参加する機会を創出している。

7月には、同社が主催して「秋葉原もったいないマーケット」を開催した。榊氏は「お客様が捨てるものをまちのコインを使って500コイン払うともらえる取り組みとなりましたが、大盛況で約500点が受け取られました。今後はスポットの中で、アメニティなど廃棄されるものをアキコと交換できるといった取り組みも考えられます」と話す。

3つめは、使えば使うほど街との関係性が深まることを意識している点だ。コインには180日の有効期限が定められており、一定期間使わないでいると回収され、再度街の中に再配布され循環する仕組みとなっている。

コインの原資はGENDA GiGO Entertainmentが負担
GiGOのゲームセンターと高い親和性

アキコのスキームとして、コインの発行は同社が担う。また、法定通貨への換金性がないため、加盟店の原資が不要な点も特徴だ。趣旨に賛同したスポットには最初に3万コインを同社の負担で配布する。各スポットは、そのコインを使って来店した人に独自のプログラムを提供可能だ。店舗は仮にコインがなくなると、同社から追加のコインが発行される。アキコが流通する中で、金銭的価値を持たず、街を回遊してもらうことで、より魅力が出てくるとした。そのため、マネーとしての金銭的価値を持たせたり、共通ポイントにエクスチェンジすることは今後も考えていない。

利用者の傾向として、他地域の場合、土日の利用が増えるが、平日・休日かかわらず満遍なく利用されているという。カヤックからは、「まちのコイン」のなかでも店舗チェックインを行う人がアキコは非常に多く、ゲーム感覚でポイントを貯めたり、レベルを高めることを好む人が多いことが分かった。

これまでの成果として、「アキコを運用していく中で、我々のお店にもかなりのお客様が来てくれているというデータがあります。コインが失効する前に店舗に行って体験する気持ちをお持ちいただいています」と榊氏は話す。貯まったアキコはクレーンゲームなどで使うことができるが、ゲームフィケーションの要素を取り入れたアキコはゲームセンターとの相性がいい。

利用者への訴求はGiGOの店舗、アキコのWebサイト、SNSなどで行っているが、スポットがSNSするケースもあるそうだ。

課題としては、スポットに通貨発行の目的を理解してもらうのに時間を要する点だ。アキコはスポットが原資負担をするわけではないが、その特性を説明するのが難しいという。そのため、効果のあったスポットを増やし、成功体験を紹介することや口コミなどで理解を深めていく必要があるとした。

アキコでは、スポット同士の交流会も定期的に開催。各スポットの結束を深めることに加え、具体的な体験のアイデアを共有している。

9月9日から「まちのコイン(イケコ)」を池袋で開始
開始時点で20の参加を目指す

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