2022年9月12日8:00
国内のクレジットカードの発行は、券面にクレジットカード番号などを表示しないデュアルインターフェースICカード(接触型と非接触型の両通信が可能なカード)などが広がりを見せている。国内を代表するカードベンダーの凸版印刷では、リサイクル材料を使用したICカード製品のラインアップの拡大や7色のカラーバリエーションを誇る「カラーコアカード」などを展開している。昨今の国内のカード発行の状況や同社の取り組みについて話を聞いた。
記事のポイント!
①近年はカード番号の裏面化やナンバーレスが進行
②国際ブランドの動きをキャッチアップして発行
③クレジットカード発行のペースは微増に
④PET-G樹脂を使用したデュアルインターフェースICカードを開発
⑤「カラーコアカード」は「JCBゴールドカード」で採用
⑥「カラーコアカード」の意匠性の高さで差別化
⑦メタルカードは富裕層カードなど一定の引き合い
⑧「オンデマンドカード印刷」技術を提供
⑨データ分析はマーケティング仮説の検証にも有効
⑩改めてカード媒体が見直される
⑪2026年までの状況は?
カード番号の裏面化やナンバーレスが進む
クレジットカードの発行ペースは微増に
昨今のICカード発行の傾向として、凸版印刷 DXデザイン事業部 事業推進センター セキュア開発本部 カード開発・販促部 係長 宮田有祐氏は「TypeA/B準拠のデュアルインターフェースカードは、『Visaのタッチ決済』などが付いてから5~6年経ちますが、カード番号を裏面に表記したり、裏面にもカード番号を記載しないナンバーレス化が進んできました」と話す。例えば、三井住友カードでは、2020年2月から、すべてのクレジットカードを30年ぶりにフルモデルチェンジして、Visaブランドは「Visaクイックリード」と呼ばれる4桁を4列に表示させる配列を国内で初めて採用した。また、2021年2月には、カード券面からカード番号・有効期限・セキュリティコードの表記をなくした「ナンバーレスカード」を展開し、カード番号はオンライン上で確認する取り組みを行っている。
昨今は、カードベンダーよりも大手クレジットカード会社がVisa等の国際ブランドの動きをキャッチアップし、その意向を踏まえカードベンダーが対応する流れがある。また、1社が対応すると、他のクレジットカード会社も追随する傾向にある。大手のクレジットカード会社に加え、中堅のカード会社もクイックリードやエンボスレス対応がスタートしている。
半導体不足に加え、コロナ禍によるデジタル化への移行が叫ばれているが、凸版印刷におけるクレジットカード発行のペースは微増となり、決して落ちていないという。また、TypeA/BとFeliCaに対応したソニー製のチップを搭載したカードは3~4年前からコンスタントな受注がある。宮田氏は「電子マネーを発行する主要なクレジットカード会社が数量変動もなく搭載しており、(QUICPayを搭載している)JCBが『JCBコンタクトレス』に移行する流れも追い風となっています」と説明する。
リサイクルPET-G樹脂カードはエポスカードが採用
側面までカラフルな高意匠の「カラーコアカード」の評価は?
凸版印刷では、環境にやさしいカードの開発にも力を入れる。リサイクルされた非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET-G)樹脂を使用したデュアルインターフェースICカードを開発し、エポスカードなどに採用された。PET-Gは燃やしても有害物質が発生しないことから、PVCの代替として期待されている。環境対応のカードはカード会社の関心も高いが、コスト面ではリサイクル材を使用していない、新材を使用した従来のPET-Gカードと比較して約5%高くなる。そのため、実際に発行する企業は一部に限られるが、大手のクレジットカード会社での発行が、さらにコストダウンも見込めると期待している。同社では環境系カードで2025年度に約40億円の売り上げを目指す。
また、7色に対応したデュアルインターフェースカード「カラーコアカード」の展開にも力を入れる。「カラーコアカード」は、カードの基材となるプラスチックをカラー化し、カード表裏でカラフルな高意匠化を実現可能だ。すでにJCBの「JCB ORIGINAL SERIES」の1つである「JCBゴールドカード」で採用されている。
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