2022年9月30日7:20
Datachainは、三菱UFJ信託銀行と、ステーブルコインの発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を用いたデジタル証券のクロスチェーン決済の実現に向け、技術提携を開始した。三菱UFJ信託銀行が2022年4月に設置した資金決済WGのクロスチェーンRTGS分科会における議論を元に、Progmat Coin上で発行されたステーブルコインを用いた、異なるブロックチェーン基盤上のデジタル証券のDVP決済の商用化を目指し、技術検証を行う。
なお、同取り組みで扱う法定通貨担保型のステーブルコインを用いたデジタル証券のDVP決済は、世界的にも新規性が高く先進的な取り組みだという。Progmat上のDVP決済は2023年に商用化予定だが、 異なるブロックチェーン基盤間のクロスチェーン決済についても、今回の実証実験を皮切りに2024年までの商用化を目指す。
Datachainは、三菱UFJ信託銀行と共に、 ステーブルコインの発行・管理基盤である「Progmat Coin」の提供を目指して設置された資金決済WG内のクロスチェーンRTGS分科会において、2022年4月より、Progmat Coin上で発行されたステーブルコインを用いたクロスチェーン決済手法についての議論を本格的に開始した。
同分科会では、 パブリックチェーンを含む多様なブロックチェーン基盤上のデジタル証券等のデジタルアセットに対して、Progmat Coinで発行されたステーブルコインを用いて、 いかに安全性・効率性・拡張性に優れた決済を実現するかを中心に検討を行った。
半年に及ぶ検討の結果、パブリックブロックチェーンにおいて40以上のブロックチェーンの相互接続を実現し安定稼働の実績がある通信プロトコルIBC、IBCをエンタープライズブロックチェーンを含むさまざまなブロックチェーンで活用可能にするHyperledger LabsプロジェクトYUIの活用を主案とすることを決定した。さらに、効率性・拡張性に優れたブロックチェーン間の相互接続を実現するミドルウェアであるLCPの活用を主案とすることについても、 同時に決定している。
2024年の商用化に向けて、この方式の技術的検証を段階的に行うそうだ。
なお、今回の実証実験では、デジタル証券に対するステーブルコインによるクロスチェーン決済を想定している。Progmat Coin基盤のブロックチェーン層であるCordaと、デジタル証券を扱うブロックチェーン基盤を想定したQuorumを相互接続し、両ブロックチェーン上のトークンの同時移転を検証する。
検証ポイントとして、1点目は、拡張性の高いトラストレスなブロックチェーン間相互認証が可能かどうかの検証となる。これを実現するための技術として、ブロックチェーン間の通信プロトコルIBC、IBCをさまざまなブロックチェーンで活用可能にするYUI、安全性に加えて効率性・拡張性に優れたブロックチェーン間の相互接続を可能にするミドルウェアLCPを用いる。
2点目は、異なるブロックチェーン基盤上におけるトークンの同時移転の検証だ。異なるブロックチェーン基盤上のデジタルアセットとステーブルコインでDVP決済を実行するためには、双方のブロックチェーン上の取引を同時に(アトミックに)実行し、双方のトークンを同時に移転させる必要がある。このようなアトミックなトークン移転を実現するためのミドルウェアとしてCross Frameworkを用いる。
実証実験後は、同スキームの商用化に向けて段階的に検証を行う。具体的には、次フェーズとして、Progmat Coinや実際のデジタル証券基盤の検証環境を用いた検証、PTSからの出来通知を元にした検証を2023年末までに実施予定だ。そして、これらの検証を元に、2024年までの商用化を目指す。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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