2023年11月29日13:00
三菱UFJ信託銀行、Progmat, Inc.、JPYCは、ステーブルコイン(略称SC)の発行・管理基盤である「Progmat Coin(プログマコイン)」基盤を活用し、改正資金決済法に準拠したSCとして「JPYC(信託型)」の発行に向けた共同検討を開始した。
あわせて、同共同検討を通じて、「Progmat Coin」基盤を介して発行されるさまざまな国産SCと、海外SC(海外籍発行者の発行するSC)の相互交換を可能にし、Web3の広範な普及に寄与することを目指す。
三菱UFJ信託銀行とProgmatは、2023年6月施行の改正資金決済法に即した形でSCを発行するためのインフラとして、パーミッションレス(パブリック)ブロックチェーン利用を前提とした「Progmat Coin」基盤の開発を主導している。「Progmat Coin」基盤を用いたさまざまなブランドのSCは、取り扱う仲介者が必要なライセンス登録を完了し次第、発行・流通が可能になる予定だ。
JPYCでは、パーミッションレス(パブリック)ブロックチェーン上で発行・流通する日本円SC「JPYC」の開発運営を行っている。2021年1月に発行を開始し、2023年11月には累計発行額が23億円を突破した。改正資金決済法を受け、電子決済手段に該当する日本円SC「JPYC」の発行および流通の促進を目標に掲げ、特にUSDCをはじめとする海外SCとの相互交換の実現のため、資金移動業および電子決済手段等取引業のライセンス登録に向けた取り組みを進めているそうだ。
同共同検討は、「Progmat Coin」基盤を用いたSCブランドの1つとして、改正資金決済法上の電子決済手段に該当する日本円SC「JPYC(信託型)」の発行を目指す。現状の「JPYC」は資金決済法上の前払式支払手段として発行しており、原則として金銭による払い戻しが禁止されているが、電子決済手段に該当する「JPYC(信託型)」については、金銭による払い戻しが可能になる。
加えて、JPYCが改正資金決済法上の電子決済手段等取引業のライセンスを取得し、Progmatと連携することで、「Progmat Coin」基盤を介して発行されるさまざまな国産SCを取り扱う仲介業者の一角として、国産SC同士や海外SCとの相互交換を可能にし、国内のSC利用者が国内外の様々なSCを円滑に利用できる環境を整備するそうだ。
2023年6月施行の改正資金決済法上、SC(電子決済手段)として、「銀行預金型」・「資金移動型」・「信託型」の3類型が想定されている。JPYCでは、資金移動型SCとしての「JPYC(資金移動型)」の発行も検討しているが、同共同検討では、送金金額制約のない信託型SCとしての「JPYC(信託型)」の組成を前提としている。
また、改正資金決済法上、海外籍発行者の発行する海外SCを仲介者として取り扱う電子決済手段等取引業者は、海外籍発行体の破綻リスクから顧客を保護するために、顧客から預託されたSCと同額の法定通貨を自己資金から拠出し保全しておく義務が課されているが、顧客が自ら「セルフカストディウォレット」を用いて自己管理する場合等、SCの預託が発生しない仲介モデルも想定可能だ。
日本国内でステーブルコイン(電子決済手段)を業として取り扱うためには、改正資金決済法で新設された「電子決済手段等取引業」のライセンスを仲介者が取得することが前提となる。JPYCが新たにライセンスを取得するまでに要する期間を踏まえ、「JPYC(信託型)」を2024年夏頃に発行することを目指す。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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