2022年12月19日8:00

フランス・タレス(Thales)グループの日本法人でデジタルセキュリティ部門を担う、タレスDISジャパンは、2022年12月8日、「2022年 タレス 消費者デジタル信頼指数」(データセキュリティに対する消費者の信頼度調査)についての説明会を開催した。当日は、タレスDISジャパン クラウドプロテクション&ライセンシング データプロテクション事業本部 本部長を務める藤岡健氏から、日本を含む調査結果のハイライトについて紹介した。

タレスDISジャパン クラウドプロテクション&ライセンシング データプロテクション事業本部 本部長 藤岡健氏

最も信頼が高い業界は銀行/金融
逆に低いのはソーシャルメディア

「2022年 タレス 消費者デジタル信頼指数」は、タレスの委託を受け、Opinium社が全世界2万1,000人以上の消費者を対象に実施した調査に基づいている。オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、香港、日本、メキシコ、シンガポール、アラブ首長国連邦、イギリス、米国で実施している。

業界別デジタルトラストの現状として、1位は銀行および金融で42%、2位が医療サービスで37%、3位が消費者向けテクノロジーで32%となっている。最も信頼が低い業界は1位がソーシャルメディアで18%、2位が政府で14%、3位がメディア&エンターテイメントで12%となった。

国別デジタルトラストの現状として、地域性や国のカルチャー、法規制などによって信頼度は違いが出る。信頼度が高い国として、1位がブラジル、2位がメキシコとなり、中南米系が高い傾向にある。3位のUAE 、4位の香港に続き、日本は5位に入っており、85%が信用している。

逆に信頼度が最も低い国はドイツで23%、2位はフランス、イギリス、オーストラリアが20%で並んだ。なお、日本は8%となっている。特に18~34歳のデジタルサービスを使う人々の回答は87%が信頼しているという数値が出ている。

消費者はデータ侵害の影響を実感
消費者は自衛している

全世界の消費者のうち、すでにデータ侵害の被害者となった人の割合は33%。日本は約半分で16%となり、世界の消費者に比べると低い。また、データ侵害被害者のうち、生活に マイナスの影響があったとした人の割合は82%となっている(日本69%)。さらに、消費者にデータ侵害について、通知するのに半年を要した企業の割合は11%(日本:6%)。1年を要した企業は5%(日本:4%)となった。藤岡氏は「半年以内に被害を受けたことを連絡しているのが9割くらいで、日本は各国の平均値よりは低い。実際のデータ侵害被害は発見される前から動き出しています。企業は対応として、いち早く何らかの異変を感じて、侵害を受けたときは早く告知して侵害の被害を察知する必要があります」と述べる。

データ侵害による主なマイナスの影響として、金融情報の不正使用が31%となった。また、個人識別情報(PII)の不正使用、消費者の情報に基づいた標的型の詐欺被害がそれぞれ25%となった。

なお、ドイツはPIIの不正使用が31%でトップとなった。日本は、なりすましアクセスが 30%と、世界平均の19%よりも高い数字だ。イギリスは、標的型の詐欺が25%となる。データ侵害では、個人に向けた資産の搾取、社会的な地位の低下を狙うもの、知名度を下げるもの、個人のアイデンティティを揺るがすものが報告されている。

消費者は自衛として、全世界の消費者の21%(日本:25%)が、データ侵害を受けた企業の利用を中止している。8%(日本:6%)の人は企業に対して法的措置を講じており、ほぼ同じ割合の9%(日本:8%)が法的措置を検討している。これは、消費者の意識につられて、より上がってくる傾向にあり、よりデジタルサービスに対するセキュリティを明示する必要があるとした。

また、銀行および金融サービスに69%など、オンラインサービスに対するセキュリティ対策の強化に多くの時間を費やす傾向にあり、それによりサービス側に保存した個人情報を保護し、セキュリティを確保しているそうだ(日本は1位「銀行および金融サービス」「オンラインショッピング/eコマース」で58%)。

消費者の54%(日本:51%)が、データ侵害を受けた企業に対し、暗号化、二要素認証などデータ保護対策の導入を義務化すべきと考えている。被害者への補償はグローバルでは53%だが、日本は70%と高い数値となった。デジタルサービスが普及する中で、国、企業、消費者は資産を守る観点から法整備が厳格に求められる。

日本はデータ漏えいのリスクに鈍感?
「補償」を求める意識は高い

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