2022年12月25日7:00
三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス、JPX総研、およびNTTデータは、デジタルアセット全般の発行・管理基盤である「Progmat(プログマ)」の開発・提供と、「デジタルアセット共創コンソーシアム」(略称DCC、会員企業数163社)の運営を担う、合弁会社の設立に向けた共同検討を開始することについて合意した。
パートナー企業7社は、同共同検討を経たうえでの合弁会社の設立を通じて、業界を挙げて「共創領域」を「標準規格」で円滑に実装し、市場参加者の圧倒的な利便性向上を実現することで、日本のデジタルアセット市場の発展と競争力を高めることを目指す。
日本国内では、2020年施行の改正金融商品取引法による「セキュリティトークン」(ST)規制、2022年施行予定の改正資金決済法による「ステーブルコイン」(SC)規制と、デジタルアセット市場の基礎が着々と整備され、すでに400億円に迫る規模のST関連案件が組成されている。
こうした動きに呼応し、三菱UFJ信託銀行では、STを取り扱う「Progmat ST」基盤、「ユーティリティトークン」(UT)を取り扱う「Progmat UT」基盤、SCを取り扱う「Progmat Coin」基盤、及び各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービスである「Token Manager」「Token Wallet」の開発を進めてきた。
デジタルアセット市場がより本格的に拡大するうえでは、既存の伝統的な証券市場や決済市場等と比較して、圧倒的な利便性の向上が不可欠だ。圧倒的な利便性を実現するためには、ネットワーク参加者同士の「共創」が鍵となる。グループを超えて手を携えるために、三菱UFJ信託銀行個社ではなく、より中立性の高い「共同事業体」を中核に据えることとした。
また、デジタルアセット市場の“共通インフラ”を構築するためには、金融市場に関する深いドメイン知識に加え、圧倒的なインフラ構築力を「1つの組織」で兼ね備えていることが理想的だという。従来の、金融機関が発注者となり、ソフトウェア企業が受託開発を行う姿ではなく、両者が手を携えて「共同事業体」を創ることで、より早く、より広く、インパクトを出せる開発集団を目指すこととした。
「Progmat ST」、「Progmat UT」、「Progmat Coin」、「Token Manager」、および「Token Wallet」に関するプログラムや知的財産権等を三菱UFJ信託銀行から移管し、共通/中核機能開発を主体的に行う「Core Developer」としての役割を担う。あくまでも共通/中核機能に係るプログラム開発者としての役割に徹し、各デジタルアセットや顧客に関するデータは、「Progmat」のネットワークに参加し各自のNodeを運用する「Service Developer」企業群が分散的に管理するため、「Core Developer」は保有しない。
なお、三菱UFJ信託銀行が「Service Developer」の一角として取り組んできた原簿管理業務やカストディ業務は合弁会社には移管せず、他の金融機関と同様、三菱UFJ信託銀行として継続する。
中立性が必要な「デジタルアセット共創コンソーシアム」に関する契約等を三菱UFJ信託銀行から移管し、「DCC事務局」として業界横断的な取り纏めを行う役割を担う。現在進めている「資金決済ワーキング・グループ」等の業界横断的な議論や合意形成が必要なテーマを対象に、共同検討の企画や取りまとめを行い、必要な情報発信や提言等を継続する。
今後は、パートナー企業7社で2023年9月以降の合弁会社設立を目指し、協議を進めていく。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト