2023年6月8日9:00
オリエントコーポレーション(オリコ)は、デジタルガレージと連携して2023年4月から、ビジネスカードを利用した事業者間取引の請求書カード払いサービス「OBS(Orico Business payment for SME)」の提供を開始した。オリコでは、自社独自の経済圏やみずほグループの顧客基盤を活用し、SME(Small and Medium Enterprise)支援に力を入れるとともに、さらなる成長が期待されるBtoB決済を強化していくという。
請求書を法人カードで決済可能
手数料は3%で3ブランド対応
オリコは中期経営計画の中で「安心・安全で利便性の高いキャッシュレス社会実現への貢献」を掲げている。その中で、社会価値と企業価値の両立により、法人向けビジネスを強化していく。
国内のSME市場の現状として、総務省と経済産業省の「平成28年経済センサス-活動調査結果」によると、中小企業以下の事業者が占める割合は99.7%を占める。また、企業数に中小企業が占める割合は諸外国と同じだが、日本は従業員数の約7割を占めており、他国と比べても中小企業の存在が大きい。
中小企業の課題として、資金繰りの悪化、販売不振・売上減少の危機、新しいルール・プロセスへの対応力不足、人材・リソース不足などが挙げられる。これまで、オリコではビジネスカードの提供により、中小企業を支援してきたが、「十分な課題解決提供には至っていませんでした」とオリコ カード・ペイメント部門 カードプロダクト開発部長 橋詰直毅氏は課題を述べる。
Visaの調査によると、日本におけるビジネスカードの保有率は、クレジットカードが21%となり、韓国、シンガポール、オーストラリア、米国に比べて少ない。また、中小企業事業主が事業用のカードを使わない理由として、「カード利用可能先が限定されている」点が42%と最も高かった。国内では、バイヤー(買手)とサプライヤー(売手)の取引は銀行振り込みの精算が一般的であり、決済手数料負担の面などからサプライヤーがカード支払いを受け付けるケースが少ない。
オリコでは請求書カード払い事業に参入することで、バイヤーのカード決済機会の拡大を図る。請求書カード払いでは、事業者がサプライヤーとバイヤーの間に入り、アクワイアラ(カード加盟店開拓会社)とカード加盟店契約を締結し、サプライヤーに対して支払いを代行することが可能だ。「OBS」では、サプライヤーがカード決済を導入していない場合でも、オリコが支払代行事業者として事業者間決済の間に入ることでビジネスカードでの決済が可能だ。PCとスマートフォンのWebサービスとなり、バイヤーは手数料3.0%で利用できる。また、クレジットカードによる後払いのため、最大2ヵ月支払いを先延ばしできる。国際ブランドの請求書カード払いのスキームは、Visaの「BPSP(Business Payments Solution Provider)」、Mastercardの「BPAP(Business Payment Aggregator Program)」、JCBの「BtoB決済ソリューション取引」に対応している。オリコのビジネスカード会員に加え、3ブランドであれば他社のビジネスカードも利用可能だ。
橋詰氏は「BPSP等を提供する企業は国内で5~6社登場していますが、当社が提供する『OBS』の特徴として、バイヤーはもちろん、契約関係を持たないサプライヤーへも当社基準のコンプライアンスチェックを実施します」と話す。
オリコ独自経済圏とみずほグループ基盤活用
自動車関連など優先業界を中心に推進
OBSの販売に関してはオリコの独自経済圏を有効活用出来る。例えば、オリコのビジネスカード会員、カード・個品割賦加盟店、リース利用者、決済・保証商品利用者、銀行保証事業での取引先金融機関等に加えてみずほ銀行の中小取引先企業を加えると100万社以上にのぼる顧客営業基盤がある。オリコ 企画グループ エグゼクティブフェロー 高畠健一氏は「全国のオリコ営業店の対面によるアプローチやみずほ銀行からの紹介企業にオリコがアプローチできることが強みです」と話す。
今回の請求書カード払いへの参入に向け、Mastercardと業界研究と優先市場特定を目的としたプロジェクトを実施。例えば、同サービスとなるバイヤーは、DPO(買掛金回転期間)が短いほど、支払い繰り延べのメリットがある。また、粗利が高い方が請求書カード払いの手数料負担の抵抗が少ないとした。サプライヤーにとっては、DSO(売掛金回転期間)が長いほど、回収早期化のメリットが大きい。さらに、回収リスクが高く、遅延時の督促が難しいほど、回収確実化のメリットがある。
オリコの優先業界として、強みである自動車関連に加え、小売、宝飾、理・美容、生活関連、宿泊、建設、リフォーム、不動産などの業界は親和性が高いとみている。3%の手数料に関しては、「例えば自動車整備などで修理期間が長い高額案件があった場合、部品卸への支払いが先に来ます。ビジネスとして利益率は高いのにキャッシュフローが課題であり手数料はネックにならないと考えています」と高畠氏は説明する。
OBSでのデジタルガレージの役割は?
犯罪収益移転防止法の特定事業者と同等水準のコンプライアンスチェック
OBSのシステムはデジタルガレージとの協業で構築した。デジタルガレージとはモール事業で2007年から、EC決済サービスの「OricoPayment Plus」で2014年から取引があり、本事業の開始に向けてもリソースを割いてくれたおかげで、2023年4月にスタートが切れた。また、マネーロンダリング対策をはじめ健全な事業間取引の構築に向けての方向性が合ったため、協業することとなった。
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