2011年4月1日11:27
日本のECサイトで購入した商品を海外へ送る「海外配送サービス」を展開する転送コムは、Retail Decisions Limited(ReD社)の提供する、クレジットカードの不正利用を未然に検知する不正検知システム「ReD Shield(レッドシールド)」を、販売代理店であるNDSから日本で初めて導入すると発表した。同システムの導入により、転送コムと提携するECサイトは、より安心して海外へ商品を販売することが可能になる。
過去5年間のクレジットカード不正使用被害額は、2008年、2009年で年間100億円以上、2010年においても約92億円もの被害が発生している。カードの不正利用は、本来のカード持ち主へ被害を及ぼすことはもちろん、ECサイト事業者にも多大な被害を及ぼしている(図1)。
このようなカード不正利用対策として自社でチェックを行うことも可能だが、担当者を置き、目視などでチェックを行うため、被害が大きくなるにつれ、人件費がかさむ課題があった。また、自社での不正利用経験からチェックを行うため、新たな手口や自社が未経験の被害からは逃れられないという問題もあった。
転送コムでもこれまでは自社でチェックを行っていたが、より精度を上げ、提携ECサイトへの被害リスクを減らすため、不正検知システム導入を検討。転送コムは海外配送サービスを提供しているため、世界での実績があり、高度なスクリーニング技術で不正を判定するReD Shieldを選び、今回の導入に至ったという。
ReD Shieldは、国・サービスに関係なく、世界中の提携企業で使われるカード取引の全情報を1つのデータベースに蓄積する。IPアドレスや発送先郵便番号から分かる地理情報に加え、決済手段、メールアドレスをもデータベースとして保有しているという。また、人工知能やルールベースエンジンを通して、これらの蓄積データから不正利用パターンを分析・検知へと反映している。さらに、ReD社から業種や加盟店ごとにカスタマイズしたブラックリストを提携企業へ提供することで、不正検知の高度化・詳細化を実現。加盟店ごとの不正傾向を分析し、時期によって変動する不正傾向に合わせた適合モデルを提供している。
ReD Shieldは、世界最大のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」をはじめ、「ターゲット」、「テスコ」、「ルイ・ヴィトン」などの海外大手企業で導入実績がある。2007年に某オンライン薬局で導入したところ、導入前のチャージバック比率は3.42%、導入後は1.30%と非常に高い効果を得ることができたそうだ。なお、チャージバック比率とは、カード発行会社が現地加盟店契約会社から取引データの提供を受けた後に、この内容が不当と判断された場合に意義を申し立て、支払った代金を現地加盟店契約会社から取り戻す手続きのことである。
転送コムでは、今回のReD Shield導入を通して、他社との差別化をはかり、日本のさらなる海外における売上高拡大を目指す。