2023年8月13日7:00
富士通は、消費者の店内行動データをもとに、生成AIを活用してデジタルサイネージ上にアバターや販促コンテンツを生成する購買促進AI技術を開発した。同社は同技術を活用した自動接客による商品販売促進を目指し、一般社団法人リテールAI研究会の支援のもと、山口県防府市にある丸久が展開するスーパーマーケット「アルク三田尻店」の実店舗において、同技術を適用した実証実験を2023年8月3日から開始する。実証実験は10月15日までとなり、以降も継続する予定だ。
同技術は、カメラ映像から消費者の行動と購買特性を分析し、対象売場での購買体験の向上につながる接客や販促コンテンツの自動作成と継続改善を実現するほか、複数の販促施策の効果計測や状況に応じた施策選択、売上向上などのKPI改善をAIにより自動化することが可能となる。
実証実験では、デジタルサイネージ上のアバターが接客するシーンにおいて、行動分析AIが分析した個々の来店者の購買行動や購買特性に基づき適切なアバターを用いて商品推奨などの接客を行う。同時に、来店者の商品購入などの接客結果も分析し、より高い効果が見込めるアバターをAIで自動生成するなど、個々人に合わせた接客内容や商品の魅力を盛り込んだコンテンツの効果を検証し、店舗や商品の売上貢献や豊かな購買体験の提供を目指す。
同社は同技術を、先端AI技術を素早く試せるAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi (code name) – Fujitsu AI Platform」を通じて、2023年度中に提供開始予定だという。
同社は、独自の行動分析AI「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー)」の分析結果に基づき生成したアバターや販促コンテンツを通じた施策、および施策効果の映像分析によるコンテンツの自動改善を通じて、購買体験を支援する購買促進AI技術を開発した。
例えば、マーケティング理論によると、消費者の購買行動の決定には、接客員の人柄と知識、商品のデザインと機能性などによって決まる指標である温かさ(warmth)と有能さ(competence)が影響すると示唆されている。こうした消費者の購買行動の傾向を踏まえ、行動分析AIから得た来店者の行動や購買特性データをもとに、生成AIに必要なプロンプト(指示文)情報を最適化することで来店者に適したアバターの生成が可能になるほか、事前に生成AIで作成した各商品の推薦内容を、販促コンテンツとして提示する。これにより、来店者がある商品棚の前に立ち寄ったり、商品を手に取る行動などから来店者の興味や購買意欲を捉え、アバターの口調や表情などを含めて最適な接客を行うとともに、買い忘れの注意喚起や関連商品の提案、商品の魅力を盛り込んだ説明などの販促コンテンツを来店者が受け入れやすい内容とタイミングで提示することで、来店者の興味や関心に合わせて魅力ある情報を提供することができるという。
なお、同実証実験は、一般社団法人リテールAI研究会の支援のもと、丸久、ブルボン、True Data、SalesPlus、フクシマガリレイ、同社の6社が立ち上げた分科会が実施する。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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