全銀ネットがシステム障害での再発防止策を説明、18日に金融庁から追加の報告徴収命令

2023年12月28日10:00

一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)とNTTデータは、2023年12月1日に全銀ネットのシステム障害に関しての報道機関向けの説明会を開催し、障害の発生原因や再発防止策を発表した。なお、全銀ネットは、11月30日に金融庁へ障害の原因分析・課題認識・再発防止策などをまとめた報告書を提出したが、12月8日に金融庁から、同報告書における再発防止策の取り組みなどの進捗状況の報告に関し、改めて資金決済法第80条第1項にもとづく報告徴求命令を受領している。今後は定期的に金融庁に対し再発防止策の取り組みなどの進捗状況の報告を行う。

2023年12月1日に行われた全銀ネットのシステム障害に関しての報道機関向けの説明会

環境構築時の生成プログラム不具合が原因
金融機関テーブル拡張時のRC23の作業領域が不足

全銀ネットは、10月10日のコアタイムシステムのサービス開始(8時30分)後、中継コンピュータ(RC)の新機種への公開を行った14行のうち、三菱 UFJ 銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、 日本カストディ銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫の10行でRC本体装置がシステムダウンし、テレ為替業務が全面的に不能となる事態が発生した。

テレ為替業務では、電文1件ごとに、仕向機関が被仕向機関に支払う「内国為替制度運営費」を付加することにしているが、仕向(送信時)、被仕向(受信時)ごとに自行対応とRC対応の2つがある。自行対応では、仕向で金融機関があらかじめ電文に内国為替制度運営費を入力してRCに送信し、被仕向では受信した電文の内国為替制度運営費が正しいかを金融機関自身でチェックする。RC対応では、仕向であらかじめRCに設定されたテーブルを参照して、RCが電文に金額を入力する。また、被仕向では受信した電文の内国為替制度運営費が正しいかをRCがチェックしている。今回の障害ではあらかじめRC本体装置に設定された内国為替制度運営費テーブルを、RCが参照する処理において、エラーを検知したことにより、中継処理アプリケーションが異常終了し、RC本体がシステムダウンした。

障害発生の原因として、環境構築時に使用する生成プログラムの不具合が発生。生成プログラムのテーブル作成処理の不具合により、生成したロードファイルの一部が破損した。内国為替制度運営費のテーブルは、システム起動時にディスクエリアにあるロードファイルから展開するが、テーブルアクセス時に正常な値を取得できずに異常終了したという。

OSのバージョン変更で32ビットから64ビットに変更したことで、プログラム改良が必要となったが、旧バージョンから互換性がない対象を洗い出して改造を加え、新しいOSでも問題なく動作できるようにする非互換対応を行った。生成プログラムが一時的に確保する作業領域に対し、RC17からRC32に拡張した「金融機関名テーブル」が必要となった。「正読金融機関名インデックステーブル」「略読金融機関名インデックステーブル」「金融機関コードインデックステーブル」の3テーブルのサイズ変更はなかったがRC23で確保する領域を一時的に超えてしまい、作業領域が不足し破損につながったそうだ。実際にはロードファイルに含まれる上記の3テーブルも含め作業領域に展開する必要があった。3テーブルは変更が加えられていないが、それについても正しく作成されているかを見る必要があったとした。

10月10日の障害発生後の事実認識として、復旧対応ではRCが内国為替制度運営費のテーブルを参照する際にエラーが発生していることは判明したものの、詳細な原因は不明だった。10月10日通信終了後に暫定対応として、RCがテーブルを参照せずに、取引の種目を判別して金額を入力するプログラム改修を実施。しかし、プログラムの改修箇所が多く、想定より作業が遅延した。加えて、検証時にエラーを検知したため、この復旧は断念。10月11日にはRCが内国為替制度運営費入力欄に一律0円を入力するプログラム改修を実施し、復旧した。

代替対応として、全銀ネットは、直接影響を受けた10金融機関に、①新ファイル転送を利用してファイルを授受する手法、または②電子媒体でファイルを授受する方法、による代替対応を依頼した。前述の10金融機関では、これまで入力していなかった内国為替制度運営費を自らのシステムで入力する必要が生じたこと、大量データによるファイル作成を行った実績がなくファイル作成に時間を要したこと、電子媒体の搬送に時間を要したことなどから、直接影響を受けた金融機関の一部では、仕向電文の発信が遅延した。また、これにより被仕向電文の受信、および後続の入金処理も遅延したという。

マネジメントやBCP体制などを見直し
API活用やオープン化の実施を念頭に置いた体制強化

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