「イオンシネマ」がセルフオーダー導入から半年で着実な効果が数字に 「売店で待たずに買えるシネコン」来期は30劇場で導入目標

2024年3月29日8:00

全国に95劇場のシネマコンプレックス「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメントが飲食向けのオーダーカウンターの無人化を実現するセルフオーダーシステムの導入に踏み切ってから半年以上が経過した。先行導入した3劇場は、いずれも売店の注文待ちの列を減らし、購買単価を5~10%高めるなど大きな効果を上げている。今後は、全国のイオンシネマに順次拡大する予定で、2024年3月までに6 劇場、来期は30劇場に導入する計画だ。

左からイオンエンターテイメント 経営戦略本部 経営戦略部 経営戦略グループ グループマネージャー 原田方正氏、商品本部 本部長兼コンセッション部 部長 塚原貴氏、同部 コンセッショングループ グループマネージャー 田中佑明氏

シネコンの常識を覆す
「お待たせしない飲食オーダー」実現

イオンシネマが導入したセルフオーダーは、レジの省人化を実現し、注文から提供までの業務負担を大幅に軽減する。さまざまなキャッシュレスサービスの一括導入が可能で、自動つり銭機を接続したキオスク端末を用いれば、現金支払いにも対応可能だ。

「イオンシネマ幕張新都心」(千葉県千葉市)、「イオンシネマ市川妙典」(千葉県市川市)で23年6月から順次稼働を開始し、23年7月に開業した「イオンシネマとなみ」(富山県砺波市)にも導入した。これにより、飲食カウンターのPOSレジがゼロになり、オーダー受付から支払いまでがすべて無人化された。オーダーは専用のキオスク端末か、来店客のスマホからとなり、クレジットカード、QRコード決済などのキャッシュレスに対応している。

左から「イオンシネマ幕張新都心」「イオンシネマとなみ」のセルフオーダー

イオンエンターテイメント 商品本部 本部長兼コンセッション部 部長 塚原貴氏は「これまでは、映画の上映の直前は、売店に長い行列ができていました。その結果として、ポップコーンやドリンクを買うのを諦めるお客様も多く、お待たせしない仕組みの導入は大きな課題でした」と話す。セルフオーダー導入で注文の待ち時間が大きく減少した効果で、劇場の来店客に対する売店利用の立ち寄り率(未導入劇場の伸び率の差)であるヒットレートが前年同月比6%アップした。サービングタイム(商品提供時間)は40%削減、キャッシュレス比率は2割増の成果を上げた。経営戦略本部 経営戦略部 経営戦略グループ グループマネージャー 原田方正氏は「列に並ばず、落ち着いて注文できるため、客単価についても5~10%上がっています」と話す。

店頭とドライブスルーの2ラインを処理
先行企業システムを参考に

塚原氏は「イオンシネマのオペレーションを見た時に決済や注文などのDXが立ち遅れていることを痛感しました。システムの入れ替えから考えなければならず、2年前に入社してすぐに、あらゆるオペレーションの見直しに着手しました」と振り返る。

同社ではネットスターズのモバイルオーダー/セルフオーダーシステム「StarPay-Order」を導入したが、目指したのは店頭カウンターとドライブスルーの2ラインでの処理を可能にする大手ファストフードのオペレーションのスピード感だ。導入劇場では、飲食のカウンターだけの処理だが、スピード感は先進企業にも劣らないという。国内で展開されている先行事例を踏まえ、劇場特有の顧客の動きがあるので、どうすれば劇場に合ったシステムになるかを検討した。塚原氏は「この半年で、オペレーションはどんどん進化しています」と手ごたえを感じている。

モバイルオーダーの利便性向上も検討
セットメニューや物販のシステム変更も視野

セルフオーダーの導入によって、人件費が削減されるなどのコスト面の効果は大きい。さらに、スタッフは注文や決済の業務が軽減され、厨房の業務に専念できるようになり、業務効率も高まっているという。一方で、大手ファストフード店などに比べ、モバイルオーダーの比率は低く、まだ1%程度しかない。塚原氏は「とにかく、多くのセルフオーダー端末を置くことを優先的に考えたので、行列がなくなり、モバイルオーダーの利用が相対的に低くなった」とその背景を説明する。

ただ、ユーザーのニーズの変化を見据え、モバイルオーダーの利便性向上も検討する方針だ。また、待ち時間が減ったために客数は増えており、今後は、商品のセット化を検討するなど、新たなメニューの開発によって、客単価のさらなる向上を目指す方針だ。

また、グッズ売り場についても、改革を進める方向だ。塚原氏は「郊外型でファミリー層が多い当劇場の特徴もあると思うが、グッズ売り場は、他の劇場に比べて、物量が多いので、まだまだ改善の余地はあります。商品の見せ方や決済方法など、どういう形が最適なのか、イオングループ全体の決済システムやアプリ活用の動向も注視しながら、検討していきたいです。イオンシネマが多くのお客さまに選ばれる劇場サービスを目指します」と意欲を示している。

冊子「決済・金融・流通サービスの強化書2024」より

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