開成高校の学食がPayPay決済のアプリを導入 券売機の列を解消するため生徒が自ら考案・開発

2024年8月28日8:30

私立開成学園の学食では、9月より、PayPay決済で事前に食券を購入できるアプリ「学食ネット」を導入する。同校コンピューター部の学生が考案。学生たちの要望を吸い上げ、学校をはじめ、学食を運営する事業者や、PayPayと連携を取りながら計画を進め、約半年間の開発期間を経て実現にこぎつけた。PayPayも、これを若年層のユーザーを獲得する好機ととらえ、全面的なバックアップ体制をとった。

生徒の7割がPayPayの利用経験あり
Open APIを活用してアプリ開発に着手

私立開成学園(東京)の学食では、9月より、PayPay決済で事前に食券を購入できるモバイル注文アプリ「学食ネット」を導入する。発案したのは開成高校3年の秋山 弘幸さん。同校2年の周 詩喬さんが協力し、2人で今春から開発に着手。学業の傍ら、約半年間の開発期間を経て、本格導入にこぎつけた。

アプリ開発にあたった開成高校3年 秋山 弘幸さん(左)と、同校2年 周 詩喬さん(右)

同校の学食は、高校生1,200人のうち1日平均400~500人が利用。利用は昼休みに限られるため、2台ある券売機には長蛇の列ができるのが常。この混雑をなんとか解消したいというのがアプリ開発の動機だった。

生徒たちのニーズを探るため、秋山さんはGoogle Formを用い、2023年10月27日から31日までの5日間、同学園の高校生を対象に、学食の利用状況と待ち時間についてのアンケート調査を実施。200人から有効回答を得た。これによって、44%が食券購入の待ち時間に不満を感じていることが判明。1割以上が食券を購入するために10分以上列に並んでおり、平均待ち時間は5分。58%が混雑のために利用を断念した経験があることもわかった。

アプリの開発にあたり、秋山さんたちは2024年3月25日からの1週間、同じくGoogle Formを用いて決済サービスの利用動向についてリサーチ。181人から有効回答を得た。この結果、7割の生徒がすでにPayPayアプリをインストール済みであり、PayPayを利用したことのない3割のうち4割が、「学食アプリ」が導入されたらPayPayの利用を開始する意向を示した。

加えて、PayPayがOpen APIを公開していたこと、決済手数料などを考慮して、「学食ネット」の決済手段にPayPayを採用することを決定した。

生徒と学食運営会社、双方の要望を集約
実証実験で使い勝手を検証

「学食ネット」の利用の流れは以下の通り。アプリを開くとメニュー一覧が表示されるので、購入した食券を選択し、数量やオプションを入力。青色のボタンを押してカートに追加する。カート画面からも数量の変更や取り消しが可能だ。カートの内容を確認し、PayPayの支払いボタンを押すとPayPayアプリに遷移。ここで決済を完了すると、自動的に「学食ネット」に遷移し、購入済みの食券が表示される。

食券を使用する際には、購入済みの食券から使用する食券を選択し、注文ボタンを押して食券を表示させ、学食のカウンター越しに調理師に提示。注文した料理を受け取ったら、受け取り済みボタンを押して、再び調理師に画面を確認してもらう。

アプリ開発は、同校の学食の運営会社であるトラスティフードと連携をとりながら進めていった。厨房のタブレット端末の操作によって、売り切れ情報をリアルタイムに反映できるようにしたり、メニューを1週間分まとめて登録できるようにするなど、運営会社側にとって便利な機能も盛り込んだ。使用しなかった食券の返金も、今までは調理師が現金で対応していたが、アプリ上で自動返金できるようにした。

学内で実施した実証実験の際には、参加した生徒から、「保護者からのおこづかいをPayPayでもらっているので、便利に利用できそうだ」「券売機で食券を購入する際は、後ろの列を気にしてゆっくりメニューを選べないけれど、アプリならいつでも好きな時間にゆっくりメニューを確認できるので嬉しい」など多くの好意的な意見が寄せられたという。

PayPayにとって10代は重要なマーケット
個人間送金などを出発点に浸透を図る

PayPay登録ユーザー数は2024年8月時点で6,500万を突破。2023年度の決済取扱高は12.5兆円に達している。

キャッシュレス決済回数全体におけるPayPayの利用割合は着実に増え続け、5~6回に1回はPayPayが使われている状況だ。また、個人間送金の分野でも、PayPayは大きなシェアを占めている。

10代が直近1カ月以内に利用した支払い方法は、4割弱の37.6%が現金のみである一方、1割強の11.6%はキャッシュレス決済のみ。残りの50.8%は現金とキャッシュレスを併用している。また、利用経験のあるキャッシュレス決済手段は、PayPayが74.3%でダントツのトップ。若年層にとってPayPayが、すでにかなりポピュラーなキャッシュレス決済手段になっていることを示すデータだ。

しかし、国内スマートフォン保有人口に占めるPayPay登録者数の割合を見ると、10代にはまだまだ大きなポテンシャルがあることがわかる。PayPay 執行役員 エンタープライズ営業第1本部長 高木 寛人氏は、「PayPayにとって10代は、長期的戦略上、非常に重要なマーケットです。10年後、20年後に日本の経済市場を担っていくこの層へのPayPayの浸透には一層力を入れていきたい」と強調する。

スマートフォンを持つことを出発点に、おこづかい、お年玉といった保護者や親せきからのお金の受け取りに始まり、オンラインを含めた決済の利用、クーポン、ポイント運用から各種金融サービスの利用へと、ユーザーの成長にともなって利用が拡大していくことを期待する。

PayPayでは2023年11月から2024年3月にかけて、静岡、広島、富山の3県で、本人確認済みの親子の間で定期送金機能を利用した場合、10%のポイントを付与する「おこづかい増量キャンペーン」を実施。この結果、定期送金の利用頻度が飛躍的に高まったことが確認されているため、今後に向けて全国展開を検討しているという。

学校✕PayPayの取り組みが活性化
他校への広がりが期待される「学食ネット」

PayPay 執行役員 エンタープライズ営業第1本部長 高木 寛人氏

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