2024年11月15日8:30
Visaは、「Singapore Fintech Festival2024」(シンガポール ・フィンテック・ フェスティバル、SFF)開催中の2024年11月6日、「シンガポールから世界へ、Visaとともに決済の未来へ。」と題したプレスセッションを開催した。当日は、Visaのアジア太平洋地域プロダクト&ソリューション責任者であるTR Ramachandran(ラマチャンドラン)氏がアジア太平洋地域で新たに開始する新技術・サービスを紹介した。「Visa Flexible Credential(Visaフレキシブルクレデンシャル)」は日本の「Olive(オリーブ)」から始まったサービスだが、アジア、世界に広がる可能性を秘めているという。
「Visa Payment Passkey」でeコマース体験向上
トークン化やClick to Payで安全、便利な体験を
ラマチャンドラン氏は過去30年、決済分野を追い続けてきたが、「この5年間で多くの変化が起こっています。その前の50年と比較しても私はそう主張するでしょう」と語る。アジアではコード決済が普及するなど、消費者の支払いの選択肢が広がる中、それに対応したVisaのソリューションについて説明した。
まずは次世代のeコマースの支払いの利便性向上、セキュリティの強化に向けて「Visa Payment Passkey」を紹介した。eコマースはアジア全体で発生する決済の約5割となるそうだ。つまり、2回のうち1回はオンラインで決済されている。「Card-on-File」と呼ぶカード番号の代わりにトークンを発行する支払いは、AmazonやShopifyなどに資格情報を保存して行われる。16桁のPANの代わりにトークンを保存しており、消費者もそれに慣れてきた。eコマースの約5割の支払いはゲストチェックアウトであり、登録したカード情報を使って決済が行われているという。
一方で、登録から決済までのスピードなど、オンライン・チェックアウト・エクスペリエンスでは課題がある。Visaではゲストチェックアウトの処理速度の改善に向けてVisa Payment Passkeyを提供する。Visa Payment Passkey はFIDO標準に沿って構築されており、オープンスタンダードに基づいている。ラマチャンドラン氏は「Visa Payment Passkey は いかなる種類のパスワードやパスコードの必要性を排除します」と話す。たとえば、EMV 3-Dセキュアの認証で用いられるOTP(ワンタイム・パスワード)では20%の失敗があるとした。ラマチャンドラン氏は「トークン化に使用する暗号化技術を用いて、消費者にシームレスな生体認証体験を提供します」と話す。利用者は顔認証や指紋などの情報を利用してスピーディにオンライン決済が可能だ。また、支払い認証情報、生体認証の両方をトークン化するため、より安全性が高まる。同社ではモバイルアプリやブラウザ、IoT製品など、消費者が持つデバイスでのeコマースをシンプルで直感的なものにしきたいそうだ。
「Click to Pay」は、消費者が数回のクリックでオンライン取引を完了できるようにし、シームレスで安全なチェックアウト体験を提供している。
Visaのトークンはウォレットに埋め込まれているため、例えば、フィリピンのウォレットを持つ人がシンガポールに来た際にNFCによるタッチやコード決済で支払いが可能になる世界を実現できるとした。Visaの「QRコネクタ」ではアジアのさまざまなコード決済のネットワークに接続しており、日常的な決済アプリを使用して、国内外を問わずコード決済加盟店でスキャンでの支払いが可能だ。Visaでは、各地域のデジタルウォレットパートナーと連携しており、各コード決済利用者が海外への渡航時にシームレスな支払いができるようにしている。
「Data Token」でレコメンデーション提供
「Visa Flexible Credential」は決済/特典が切替可能
また、Visaの「Visa Protect for Account-to-Account (A2A) Payments」では、リアルタイム決済の不正行為や詐欺を監視して防止する。P2PデジタルウォレットやQRコード決済など、即時の口座間決済における不正行為を監視する。AIを搭載した同サービスは、最大500の独自リスク要因をリアルタイムで分析し、金融機関にリスクスコアを提供する。現在、英国でパイロットプログラムを実施しているが、パイロットでは54%の詐欺の削減を達成したという。
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