2025年4月4日8:00
LINEヤフーが展開する「Yahoo!ショッピング」は、LINE特典も利用可能になっている会員サービス「LYPプログラム」の会員獲得キャンペーンが成功したほか、LINEユーザーを取り込み、「超PayPay祭」やヤフービッグボーナスなどの大型販促キャンペーンの効果も後押しし、GMV(総流通額)を想定よりも上振れさせている。今後は、ユニバーサルな決済手段として6,500万人のユーザーを持つPayPayを含む、グループのシナジー効果を発揮できるかが、成長のカギを握っている。
LYPプレミアム会員獲得へ
2024年から全社的な取り組み
LINEヤフー 執行役員でYahoo!ショッピングを統括する畑中基氏は「2024年から、LYPプレミアム会員を軸に全社的に会員数を増やす取り組みを加速させています。『お得』を感じてもらえる特典を強く訴求し、CMも含めて、周知をさせた効果もあって、会員数が相当増えました。それに伴って、Yahoo!ショッピングでの購買者が新規も含めてかなり増えて、足元のGMV(総流通額)は、想定よりもかなり上振れています」と話す。
LYPプレミアムは、旧Yahoo!プレミアムで提供していた特典に加え、LINEアプリが便利になる特典を利用できる月額制のサービスだ。1,500万種類以上の対象スタンプが使い放題になる「LINEスタンププレミアム」が追加費用なしで利用できるほか、LINEアプリのアルバムに動画やオリジナル画質写真を保存できるなどのメリットがある。
業績の牽引役であるLYPプレミアム会員は、2024 年に実施した入会キャンペーンなどの会員獲得策が奏功し、新規加入が増えている。直近では、LINEからの入会者が非常に多く、アイコンを着せ替えできたり、サブプロフィール(1つのアカウントで複数のアカウントを使える)を持てるなどのLINE向け特典を増やした。
第3四半期(2024年10月~12月)は、LYPプレミアム会員の特典のほか、超PayPay祭やヤフービッグボーナスなどの大型販促キャンペーンを実施した効果もあり、GMVの伸びが加速している。年末のふるさと納税の駆け込み需要も取り込み、GMVの上積みができており、2024年度の業績は好調を維持したままで着地するとみている。
PayPayアプリからの送客が増加
あんしん返品保険で消費者の不安解消
ソフトバンクとLINEヤフーの合弁会社であるPayPayとの連携も、Yahoo!ショッピングの利用拡大に多大な効果が期待できる。ただ、PayPayはグループ内決済だけではなく、幅広いシーンでの決済ツールを目指す立ち位置で、グループ色を強く打ち出すことには積極的ではないと言われる。
ただ、畑中氏は「私はPayPay立ち上げのメンバーの一人で、PayPay側からYahoo!ショッピングを見ていました。PayPayはYahoo!ショッピングと連携しながら、ポイントを拡大してきましたが、数年前から両者のシナジーを追求することに軸足を移しています。経済圏の構築という意味では引き続き、超PayPay祭などのキャンペーンなどでシナジーを生み出していきたいです」と話す。
具体的には、2024年から、PayPayアプリの中でスムーズにYahoo!ショッピングが楽しめる「ミニアプリ」を展開し、一定の成果が出ている。PayPay アプリを開いている消費者がオンラインの買い物へ移行しやすいような導線を、PayPay と協力しながら作ることで、PayPayアプリからの送客が増えている。
また、PayPayカードのユーザーは、Yahoo!ショッピングへの定着率や購買単価などのロイヤルティが他社カードのユーザーに比べて高いという分析結果がある。今後も、さまざまなキャンペーンを通じて、PayPayカードの入会促進と、活用の拡大を促す施策を両者で検討する方針だ。
一方、PayPayの親会社のソフトバンクとの連携に関しては、ソフトバンク自体がPayPayをユニバーサルに広げる方針を掲げている。畑中氏は「Yahoo!ショッピングのユーザーだけに対するお得感を付与するということは、足元では抑え気味になっていますが、今後もソフトバンク側とコミュニケーションを続け、さまざまな施策を検討していきます」と話す。
なお、PayPay ポイントは、LINEヤフーのグループサービスにおいて期間限定で利用できる仕組みに変更している(一部、有効期限なく全てのPayPay加盟店で使えるPayPayポイント(通常)も含む)。同変更にはさまざまな意見があると認識しているが、グループサービスのリピート利用で成果を生んでいるという。
また、LINEヤフーグループのPayPay保険サービスとZフィナンシャルが2024年12月から、「Yahoo!ショッピング」でのファッションアイテム購入時に返品送料を補償する「あんしん返品」保険の提供を始めている。ネットショッピングで購入した商品をユーザーが自己都合で返品する場合、本来であれば有料となる返品送料を保険でカバーするサービスだ。畑中氏は「あんしん返品はかなり好評です。初めてのブランドのファッションを買うときはサイズなど不安ですが、『まずは試しに買ってみよう』という気持ちになるなど、ハードルを超えるのに役立っています」という。
このほか、Yahoo!ショッピングで扱う商品数については、他社と比べても遜色ないものの、ユニークな商品種については弱い分野もあるという。畑中氏は「もともとEコマース革命を打ち出した時、『ないモノがない世界をつくろう』という目標を掲げていました」といい、商品種を引き続き拡大していく方針を示した。
畑中氏は「楽天やAmazon と比べると、縮まっているとはいえ、GMVの差はまだ大きいです。LYP プレミアム会員やLINE、PayPayとの連携を通じて、私たちだからこそできるお客様へのアプローチやサービスを打ち出し、しっかりとGMV を伸ばし、できる限り早い段階で追いつきたいです」と決意を示した。なお、BEENOS の買収により、越境EC 拡大においてのシナジーも期待できる見込みだ。
「決済・金融・流通サービスの強化書2025」より