2025年4月11日8:30
JR東日本は、Suicaを核としたビジネス拡大戦略の一環として、独自に開発したブロックチェーンを活用したプラットフォームサービスの提供を開始した。モバイルSuicaの利用履歴情報を安全に管理したうえで、それぞれのユーザーに合ったサービスを提供したり、情報やデジタルアイテム・クーポン等を配信。ユーザーは受け取ったデジタルアイテム・ クーポン等を「JRE WALLET」アプリに保管したり、友だちに渡したりすることができる。同社ではさまざまな企業との共創を進めることで、このサービスの魅力を高めていきたい考えだ。

Suicaを核にビジネスを拡大
自社開発のブロックチェーンを活用
ビジネス成長戦略のキーワードとして「Suicaの進化」を掲げるJR東日本では、2025年1月より、企業共創プラットフォームサービスの提供を開始した。Suicaをさまざまな企業のデジタルサービスと結び付けることにより、新たなサービスの展開を目指す。
具体的には、モバイルSuicaユーザーが、同社が新たにリリースした「JRE WALLET」アプリにSuicaを紐づけることによって、プラットフォームにSuicaの利用情報を提供。プラットフォームを利用する共創企業は、Suicaのご利用状況に応じたサービスの提供をしたり、この情報をもとに、それぞれのユーザーに合った情報やデジタルアイテム・クーポン等を配信。ユーザーは受け取ったデジタルアイテム等を「JRE WALLET」に保管したり、友だちに渡したりすることができる。
このサービスには、データの取引履歴を暗号化・分散管理し、セキュリティの高い正確な取引記録の維持を可能にするブロックチェーン技術が活用されている。今回使われているのは、同社が一から独自に開発したブロックチェーン基盤 だ。
サービス提供にあたり、パブリックチェーンを利用することも検討したが、「運用面も含めて現状では発展途上であり 、ファーストパーティデータの記録のために採用するのは時期尚早と考えました」(JR東日本 マーケティング本部 くらしづくり・地方創生部門 新規事業ユニット 藤井崇史氏)。そこで、技術力が高く、実績も豊富なベンダーとともに開発にあたる道をとった。「公共性のある事業を展開する当社が自ら開発し、運営することによって、パブリックチェーンでなくとも、データ管理に対する安心感などお客さまの信頼を得ることも可能ではないかと考えました」(藤井氏)。開発にかかった相応のコストも、共創企業が増えていくことによって問題なく回収できる見込みである。
公式Xでの告知を起点に周知が進む
まずグループ内から活用事例を発信
2025年1月14 日のサービス開始後 、同社では、デジタル鉄道ジオラマゲーム「みんなのトレインタウン」をリリースした。このゲームはブロックチェーンと連携しており、Suicaを介した行動によりゲーム内でのリワードを獲得したり、ゲーム内で獲得したデジタルアイテムをアプリ内で管理したりすることができる。
「みんなのトレインタウン」の公式Xでは、リリース前の2024年12月10日から、サービス開始を告知。フォロー数などに応じて、リリース時にゲーム内で使用できる通貨やアイテムを配布することを宣言して、フォローを促進。一方、「JRE WALLET」では、リリースから3月20日までの間にアプリをダウンロードした人全員に、リリース記念デジタルアイテムを配布。さらに、このリリース記念アイテムを獲得し、5月7日 までに「みんなのトレインタウン」と「JRE WALLET」を連携した人全員に、ゲーム内で使える特別な車両を配布するキャンペーンを実施中。
また、エキュート大宮、エキュート日暮里とは、キャンペーン連携を行い、「JRE WALLET」に会員登録したお客様に対してそれぞれのエキュートで利用できるデジタルクーポンを提供した。
これらのキャンペーンの情報が、SNSや、Webのニュースサイトなどを通じて広まったことなどにより、サービス開始前から、エンドユーザーと企業の両方から多くの関心が寄せられた。「想定以上の手応えがあり、大変ありがたいことでした」と藤井氏は振り返る。
ゲーム、食品、金融などと連携
生活に“新しい楽しさ”を提供
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