7,000万人の楽天会員を外部提携先へ送客(楽天)

2011年7月15日8:00

7,000万人の楽天会員を外部提携先へ送客
「楽天あんしん支払いサービス」で楽天の経済圏を拡大

楽天では、楽天グループ以外の提携先サイトで、楽天会員IDとパスワードを利用して決済が行える「楽天あんしん支払いサービス」の提供を行っている。同サービスは7,000万人の楽天会員であれば誰でも利用可能だ。楽天会員の購買力の高さを活かし、外部提携先での利用は急激に伸びているという。

楽天

コンセプトは「簡単、安心、お得」

外部提携先でも楽天スーパーポイントが貯まる、使える

楽天あんしん支払いサービスのコンセプトは「簡単、安心、お得」の3つ。まず「簡単」は、7,000万人を有する楽天会員のIDとパスワードの入力だけで決済が行える。また、住所や氏名などの個人情報やクレジットカード番号などの個人情報を楽天側が保持し、管理しているため、利用者は顧客情報などを入力する必要はなく、「安心」してサービスを提供できる。さらに、楽天会員は外部提携先企業では楽天市場同様に楽天スーパーポイントを「お得」に貯めることも使うことも可能だ。

「楽天あんしん支払いサービス」の紹介サイト

導入するマーチャントとしても個人情報やクレジットカード番号の管理をしなくていいため、本業に集中できる。また、通常は外部提携先企業でも、100円の利用で1ポイントの楽天スーパーポイントを付与しているが、販売促進キャンペーンとして2倍、3倍のポイントを付けることも条件次第で可能となっている。さらに、加盟店への代金の支払いは月に2回となり、クレジットカードなどに比べて精算サイクルが早いのが特徴だ。

実際に外部提携先の加盟店が楽天あんしん支払サービスを導入する場合、APIでの提供が基本となる。APIの実装経験のある企業であれば、早い企業では2週間程度でサイトに実装が可能だが、同サービスを利用するためには審査が必要となるため、平均的には1カ月~1カ月半の期間がかかるという。

導入企業も順調に増えている。TOHOシネマズ、タワーレコード、ゼロハリバートン(エース)に加え、チケット共同購入サイトのポンパレ(リクルート)、グルーポン・ジャパン、シェアリーなどの大手企業が名を連ねる。また、デジタルコンテンツ系のサイトとしてはアメーバピグ、コロプラ+、ドワンゴなどのサービスで利用できる。利用可能サイトは順調に伸びており、今後も拡大が続くと同社では自信を見せる。

また、2010年5月には、米国のインターネット通販サイトであるBuy.com, Inc.を買収した。Buy.com, Inc.は、決済方法として「楽天あんしん支払いサービス」を導入し、それに伴い、国内の楽天会員が楽天会員IDを利用して、簡単にアメリカの商品を購入できるクロスボーダー取引を開始。商品は国際配送サービスで届けられるという。

購買意欲の高いユーザーが多いのが差別化のポイント

導入サイトでは新規ユーザーが堅調に増加

他社との一番の差別化ポイントは、7,000万人の楽天会員を有している点だ。楽天市場のユーザーは、購買意欲が高く実際に購入行動を行う利用者が多いことが他サイトでの利用を後押ししている。

「導入サイトからは、他のID連携を行っている企業よりも数倍、決済金額が違うとのコメントをいただいています。また、ある導入サイトでは新規のユーザーが増えたとの評価をいただいています。その理由としては、楽天会員はネットでお買い物をしようとしているお客様であることが挙げられます。また、外部提携先の利用でもポイントが貯まり、場合によっては使うことができることも大きなポイントです」(楽天 チェックアウト事業 チェックアウト運営グループ マネージャー 鈴木氏)

例えば、TOHOシネマズの映画館座席予約とチケット販売を行う「インターネットチケット“vit”」では、楽天あんしん支払いサービスを導入し、楽天スーパーポイントでチケットを購入することが可能となった。

最近では、中堅・中小企業だけでなく、大手からの引き合いも増えているという。また、楽天の広告部門と連携し、楽天会員に対して効果的にリーチする媒体への露出と、楽天会員の購買転換率が高い楽天あんしん支払いサービスの組み合わせで外部提携先企業サイトの売上拡大支援を行っている。

外部提携先の拡大で認知度向上を図る

登録できる決済手段の拡充も検討

営業展開は自社で行うケースとパートナー経由の2種類がある。現在、ショッピングカートなどのECシステムを提供する事業者としては、SAVAWAY、Hands、アイ・ドゥコミュニケーションズなどと提携している。また、決済代行事業者は大手1社と契約している。

決済手数料に関しては非公開だが、「楽天あんしん支払いサービスは、ユーザーが購入する手段と捉えており、差別化は十分に図れているため、加盟店様よりご納得いただいける価格を提示しています」と鈴木氏は説明する。

現状の課題としては、楽天グループ以外で決済ができるという認知度がまだまだ低い点だ。ここは大手を中心に導入企業が増えていくことで徐々に解決していくと見ている。

また現在、楽天会員に登録できる決済手段はクレジットカードのみだが、「今後は他の決済手段の導入も検討していきたい」(鈴木氏)としている。同社の子会社にはビットワレットや楽天銀行など、金融サービスを行う企業もある。

楽天は、KDDIと提携し、楽天市場での支払いに「auかんたん決済」を導入する予定などがあり、今後は楽天会員にとって決済手段の選択肢、楽天会員IDを使用して決済できるサイトが増えそうだ。 

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