2025年5月23日8:00
統合コマースプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOと、三井不動産は、日本のコマースビジネスにおけるオムニチャネルサービスの進化とイノベーションの創出を目指し、2025年5月16日に戦略的資本業務提携の契約を締結した。SUPER STUDIOでは、コマースDXの支援拡大に向け17億円の追加資金調達も実施した。SUPER STUDIOでは、EC・店舗において、コマース事業の成長に必要なプロダクトの展開を強化するそうだ。
コマースDXを実現するソリューション提供
顧客を軸とした成長戦略が重要に
SUPER STUDIOは2014年に創業したが、コマース業界にプレーヤーとして参画したところが特徴の1つだ。そこの試行錯誤から生まれたのが、メイン事業である統合コマースプラットフォーム「ecforce」だという。
ecforceはプロダクトの提供範囲が非常に広く、コマースソリューションとデータソリューションという2つに分かれている。コマースソリューションは、オンライン上での販売チャネルを担うECシステムの領域から、店舗の予約、接客など、顧客接点に関わるすべての領域にサービスを提供している。
データソリューションに関しては、コマースソリューションで取得したデータを統合分析、利活用できる仕組みを提供している。プロダクトのラインナップとして、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)、MA(マーケティングオートメーション)、BI(ビジネスインテリジェンス)と呼ばれるようなデータ活用領域のプロジェクトを網羅的に提供している。同社はシステムの提供に加え、自社でコマース事業を展開しており、そのノウハウを活用したコンサルティングサービスも行う。
ビジネス構造的にもコマース市場のプロダクトをデリバリーすることで、事業の課題解決を図り、システム要件もプロダクトに還元していくような形でサイクルが回っており、ここをアジャイルで運用することで事業成長するビジネス構造が同社の強みとなるそうだ。
現在、ecforceは、三井不動産様をはじめとしたエンタープレイス企業が利用しており、「今後もこのコマースDXソリューションを磨き上げて、事業成長していきたい」とSUPER STUDIO 取締役副社長 COO 兼 CPO 花岡 宏明氏は述べる。
コマース市場はこの数年でも大きな変化を遂げている。小売り全盛時代は、良いモノを作れば売れた時代だというが、メーカーと小売店が大きく分かれていた。そこからIT化が進み、EC拡大期に入る。同フェーズではスマートフォンの普及などもあり、コマース事業者のEC化が進んだ。また、コロナ禍などもあり、コマース事業者全体でECシフトが行われた。こうした背景を経て、消費者の購買行動が多角化している。オンラインでの購入に加え、オフラインを意識するような購買行動が進んだ。また、消費者人口減少、事業者の参画が増える中、商品のコモディティ化が加速している。さらに、マーケティング領域でもデジタルマーケティングが大きく発展し、現在では1人の顧客を獲得するためのマーケティングコストが増加している背景もある。
こうした中、コマース事業者として消費者ニーズに多角的に対応するため、オムニチャネル対応の需要が高まっている。また、広告コストの高騰も合わさり、いかに顧客1人1人の経済活動を最大化していけるかが重要となるそうだ。
変わり続ける消費者のニーズに、コマース業者は、素早い対応が求められる。現在は、オムニチャネル対応、データの活用が重要視されているが、今後においてはAIの浸透も日々起きているため、柔軟に対応できるかが問われているとした。
花岡氏は「弊社のコマースDXは、消費者ニーズに素早く対応し、あらゆる顧客接点でデータを取得、統合、分析、活用することで 統合サービスとしての顧客体験価値を高め、顧客一人当たりの経済価値を引き上げていく事業モデルの変革だと定義しています。コマース事業者はアジャイルな事業変革が求められています」と説明する。
花岡氏は、「事業を行う人の部分、それが動く仕組みがアジャイルに代わることが重要」だとした。DXの流れが数年前から起きる中、アジャイルが浸透してきているそうだ。特に人の部分はアジャイルシフトが進んできたが、仕組みの部分が浸透しきれていないという。コマース事業者は仕組みの部分をシステムベンダーに委託しているケースがほとんどであり、実行が追い付かない状態だ。
ecforceは、コマース領域に必要なシステムを網羅的に提供しているかつ、それぞれのシステムのカスタマイズ性も非常に高いため、コマース事業者の課題への要件適合度 が非常に高いことが特徴だとした。本体システムとの繋ぎ込みなどもカスタマイズ対応できるため、ecforceを活用しながら、実施したい施策を最小・最短で実行し、 データによる成果を確認しながら、プロジェクトをアジャイルに進行することできるそうだ。
三井不動産とコマースDXで連携
17億の調達でさらなる成長目指す
同社では、三井不動産との協業により、オフライン領域、サービス領域への展開のスピードなどコマースDXを加速させてきた。また、新たな市場を開拓しながら、オンライン・オフライン問わず、クロスチャネル・クロスサービスを統合し、あらゆるコマース事業者のDXを支援していきたいとした。
同社では、三井不動産およびグローバル・ブレインが共同で運営するスタートアップ投資事業「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」、ALL STAR SAAS FUND、きらぼしキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資により、約17億円の追加資金調達を実施。これにより、累計101億円の資金調達を実施。コマース両機の中では日本で最大級の規模だという。調達した資金は、コマースDXの支援拡大に向けたプロダクト開発や採用の強化、顧客獲得のための セールス・マーケティング活動などに投資する。同社では、エンタープライズ企業を中心とした あらゆるコマース事業者のDXを推進し、日本のコマース市場リードする存在を目指すという。
三井不動産との最初の取り組みは「&BASE」で2022年に実施。2022年4月 RAYARD MIYASHITA PARK内「&BASE」にて リアル店舗でありながらEC同様の顧客データの取得を図る実証実験として 白スニーカーを展開するD2Cブランド「GO WITH WHITE(現:DOUBLEW)」のPOP UP STOREを開催し、9日間で約2,000人が来場し、目標の2倍以上を売り上げた。
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「館内まとめて試着・購入サービス」を企画・開発へ
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