ペイパル、日本事業統括責任者 余伝道彦氏  新プロダクト投入でデジタル化とキャッシュレス推進をさらに加速へ

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2025年8月26日8:10

ペイパル(ペイパル Pte. Ltd. 本社:シンガポール)の日本事業統括責任者として、このほど余伝 道彦(よでん みちひこ)氏が就任した。ペイパルは海外では、単一プラットフォームで世界のウォレットサービスと連携する「PayPal World(ペイパルワールド)」、AIエージェント、ステーブルコイン、MastercardやVerifoneと連携したオムニチャネルソリューションなどのサービスを続々と打ち出しているが、日本での新たなプロダクト展開も見据えているそうだ。

PayPal Pte. Ltd. 東京支店 日本事業統括責任者 余伝 道彦氏

約20年デジタル決済サービスに携わる
NTTデータ、ペイパル、Stripeなどで経験

余伝氏は、20年にわたりデジタル決済サービスの拡大に携わってきた経験と、日本市場に関する深い専門知識を生かし、ペイパルの日本事業統括責任者に就任した。

同氏は、東京大学で情報理工学を専攻し、学士号および修士号を取得した後、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院にてMBAを取得している。ペイメントビジネス初期は、NTTデータの新規ビジネスとしてNFC事業の立ち上げやグローバルの新規ビジネスに携わった。NTTデータは決済プラットフォーム「CAFIS」で有名だが、社内ベンチャーコンテスト入賞による別舞台での新規事業だった。

同社で日本発のNFCサービスの開拓を目指した後は、Mastercardにてアジア太平洋地域のアクセプタンス(加盟店開拓)・ソリューションの統括責任者として、タッチ決済やQRコード決済の普及・拡大を主導した。「QRコードやタッチ決済のアジア太平洋の先駆者として実装を広げました」(余伝氏)。中国のコード決済や米国のITの巨人のモバイルウォレットなど、新たな決済プレイヤー・サービスが登場する中、スタートアップや加盟店などとパートナーシップを結びながら、アクセプタンスのすそ野を広げる取り組みを行った。

その後入社したストライプジャパン(Stripe)では、戦略パートナーシップ本部長を務め、アクワイアラや国際ブランドとの提携推進、事業基盤の構築、日本市場における成長戦略の立案・実行を統括した。中でも三井住友カードやジェーシービー、Shopifyなどとは深い関係で取り組んだという。

ペイパルはプロダクトアウトの会社に変貌
米国から、順次世界展開も進める

新たにペイパルの日本事業統括責任者に就任したが、「ペイパルはちょうど変革期です」と余伝氏は話す。アレックス・クリス(Alex Chriss)氏がCEOになり、2024年1月に“First Look”と題してプロダクトロードマップを紹介して以降、プロダクトアウトの会社に変貌し、次々と新サービスを打ち出している。余伝氏は「マネジメントも変えて、プロダクトの責任者を立てて、世界で戦えるプロダクトを作っています」と述べる。

直近では、ペイパルやVenmoとデジタルウォレットを単一のプラットフォームで結ぶペイパルワールドを発表した。ローンチパートナーには、Mercado Pago、NPCI International Payments Limited (UPI)、Tenpay Global が含まれる。また、ペイパルは、ニューヨーク州金融サービス局によって仮想通貨ビジネス活動を行うための認可を受けPaxos Trust Companyによって発行されるPayPal USD(PYUSD)を展開しており、ペイパルおよびVenmoを通じて売買可能だ。さらに、Perplexityと提携したAIエージェントの取り組みも強化している。余伝氏は「ペイパルワールドを通じて、20億人のユーザーに対するエコシステムを作っています。最先端のプロダクトを世界にお届けできる会社になっていると考えています」と話す。

例えば、AIは大量のデータを保持していることが強みとなるが、ペイパルは売り手、買い手双方のデータを保持しているため、「情報の質が高い」と余伝氏は自信を見せる。また、ステーブルコインに関しては金融機関などの関連プレイヤーと一体となり、各マーケットで受け入れられるサービスを構築できるとした。

新プロダクトは米国からの展開となったが、順次世界展開も進めている。従来、ペイパルのカントリーマネージャーは営業統括責任者であったが、「ゼネラルマネージャとしてビジョン、戦略、プロダクト、パートナーシップ、マーケティングを一気通貫で見る形となっています。この転換期において日本を任していただけるのはエキサイティングですし、すごく面白い展開が待っていると思います」と余伝氏は意気込む。

フルセットでサービス提供可能
ローカライズを図る課題

決済業界でもウォレット事業者や国際ブランドがAIやステーブルコインの展開を準備しており、転換点が訪れている。「その中でペイパルはいち早くデジタルコマースプラットフォームとして武器を取り揃えています。決済代行の役割に加え、ウォレット、BNPL、AIエージェントも含めてフルセットでサービスを提供できる価値があります。それをグローバルで展開できるのは強みです」と余伝氏は述べる。

例えば、元UberのMark Grether(マーク・グレザー)氏が統括する「PayPal Ads」はペイパルの膨大なネットワークを広告媒体として活用可能であり、日本企業がペイパルの海外ユーザーのアプリ画面で訴求できるチャンスであるとした。日本のゲーム会社が米国やドイツのゲーマーに告知する際に有効だという。

一方で、ローカライズを図る課題として、“日本は特殊なマーケット”であると言われる。実際、それは間違いではないが、中国やインドネシアも特殊な面はある。また、オーストラリア、フランス、香港などは日本と似ている部分もあり、各国の特性を分析することで、「他のマーケットで上手くいっているサービスを積極的に日本に持ってくることが可能です。当然、日本ならではの味付けが必要になってきますので、自前で行う部分もありますし、大きな信頼感を築いている大手の皆様とパートナーシップを組んで、ペイパルのプロダクトをご提供することもできます」と余伝氏は話す。

日本での展開は?戦略シフトとして2つ重要な観点
直近のプライオリティは日本の成長戦略の再定義

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