2011年8月24日8:34
クラウド型決済システムで加盟店の負担を大幅に軽減
従来の3分の1のコストで決済システムを提供へ
ジェイアール東日本メカトロニクスは、三菱UFJニコス(MUN)と協力し、2012年3月の稼働に向け、Suica電子マネー、クレジットカード、銀聯カードに対応可能な新決済システム「クラウド型マルチペイメントプロセッシングシステム(仮称)」を共同で開発している。同システムがスタートすれば、加盟店は従来の3分の1のコストで決済システムの導入が可能となり、電子マネー等の決済インフラが急速に広がるとジェイアール東日本メカトロニクスでは自信を見せている。
Suica電子マネー、クレジット、銀聯決済に対応
インターネット回線の利用で通信費を抑制
ジェイアール東日本メカトロニクスは、交通系電子マネーの支払いに利用できるセキュアな決済端末の開発、三菱UFJニコスはクレジットカードや交通系電子マネーのアクワイアリング業務を行っている。両社では、電子マネー等の決済端末のコストが高いため、導入を躊躇する加盟店が多いという共通の課題を抱えてきた。
「現行のSuica端末は、端末本体にセキュリティ機能が搭載されているためコストが高価でした。また導入加盟店は、新たに端末用の回線を敷設する必要があり、運用負荷がかかっていたのも事実です」(ジェイアール東日本メカトロニクス 営業本部 営業担当部長兼電子マネーシステム本部 小山智之氏)
「クラウド型マルチペイメントプロセッシングシステム(仮称)」は、シンクライアント方式を活用したクラウド型サーバにSuica電子マネー、クレジットカード、銀聯カードの機能を集約。加盟店は既存のインターネット回線が利用できるため、端末用の回線の新規構築が不要となる。また、従来の端末は設置工事が必要だったが、新端末は宅急便などで届けられた機器をインターネット回線に接続するだけで利用が可能だ。
「端末の価格は従来のCCT端末などに比べ3分の1以下に抑えることができ、加盟店は月々数百円のコストでシステムをご利用いただくことが可能です。弊社としても今回のシステムはビジネスモデルの転換点だと捉えています」(小山氏)
業務アプリケーションはセンターサーバで管理
クーポンやポイントのサービスも追加が可能に
シンクライアント方式により、業務アプリケーションをセンター側で管理することで、電子マネーの売上データの配信作業や不定期に発生する店舗端末の更新作業も不要だ。さらに、サーバで管理する仕組みを活用し、加盟店独自のポイントプログラムやクーポンなどのサービスを提供することができる。
リーダライタはマルチ対応が可能となっており、ジェイアール東日本メカトロニクスでは交通系以外の電子マネー事業者にも同端末の利用を呼び掛けていく方針だ。
一方、クレジットカード決済端末はPINパッドとセットで提供する。処理速度も、一般的なアナログ回線の場合は10~20秒が目安だが、1~2 秒で実現するという。また、セキュリティ面では、端末側にセンシティブ情報を保持しない設計となっている。
2012年3月にサービスイン
加盟店は従来の3倍増を見込む
2013年春には鉄道計51事業者、バス計98事業者の合計149事業者でICカードの相互利用がスタートし、各交通系ICカード加盟店での電子マネーの利用(PiTaPaを除く)が可能になることから、「電子マネーの市場が急速に拡大する」と小山氏も期待する。
新端末の設置は2012年3月からとなるが、「その時点では多くの加盟店で利用がスタートしていると思います」と小山氏は話す。現在、Suica電子マネーの利用可能店舗は15万店だが、ジェイアール東日本メカトロニクスでは同端末の登場で従来の3倍は新規加盟店が増えると自信を見せる。
ジェイアール東日本メカトロニクス 電子マネーシステム本部 マネージャー兼電子マネー開発グループリーダー 山岡敬明氏は、「小額決済は60兆円の市場があると言われる中、電子マネーは1兆数千億円の規模に留まっています。新端末投入により、電子マネーの市場を少しでも広げていきたいですね」と意気込みを語る。
なお、ジェイアール東日本メカトロニクスでは新端末の販売を強化する一方、従来の端末についても提案を続けていくという。処理速度に関しては旧端末の方が早いため、コンビニや駅ナカの店舗などを中心に営業を行う予定だ。