2011年10月13日8:30
(21)ジャックスがDNPと共同でNFC対応の携帯電話を用いた実証実験を開始(下)
Paypass加盟店で読み取り実験を実施
FeliCaベースの決済手段と比較しても処理スピードは双璧
実証実験は、ジャックス、大日本印刷、KDDIの関係者が実際にNFC対応携帯電話を使用して行った。すでにPLANT店舗での読み取りテストを実施。佐藤氏は、「NFCケータイによるPayPassの読み取り実験では、FeliCaベースの決済手段と比較しても処理スピードは遜色ないことがわかりました。これならお客様のニーズに応えられると思います」と成果を語る。
また、千葉県舞浜市のイクスピアリ、神奈川県横浜市のコレットマーレにもPayPassの決済端末が設置されているが、両店舗での読み取り実験も行っており、「問題なく動作の確認を行うことができた」(佐藤氏)という。実証実験は2012年の春頃までを予定しているが、その間に海外での読み取り実験も実施する方針だ。
今回は、NFC対応携帯電話に搭載するアプリへのデータ書き込みとPayPassの決済端末の読み取りがメインとなったが、「アプリの再発行や返金処理などについては、過去の『QUICPay』社員パイロット経験により、対応できると感じています」と佐藤氏は話す。
また、MasterCardのNFC向け決済仕様である「M Chip」については、今回は従来の携帯電話を利用したが、スマートフォン対応に合わせて見据えていきたいとしている。
「スマートフォンでカードを発行する場合、発行コストの抑制が図れない可能性があります。そこは実際のビジネスに移した際の課題となります」(佐藤氏)
まずは、NFC対応携帯電話を利用した決済を形にすることに重きを置くが、ジャックス 営業戦略本部 カード企画部 カードネットワーク課 スタッフマネジャー 山田仁氏は、「今後はスマートポスターなどの付加サービスも検討してきたい」と話す。
他のキャリア、国際ブランドとも話し合いを進める
NFC決済により非現金化を後押し
同社では、提携カードを主体にビジネスを展開しているため、TypeA/Bベースの決済が普及した際は、PayPass一体型のカードも広がると期待している。外海氏は、「FeliCaベースの決済も国内のインフラが整っていますので、加盟店のニーズに合わせてそれぞれにあった決済を提案していきたい」としている。また、今回はKDDI、MasterCardが協力して実証実験を行ったが、ほかのキャリア、国際ブランドとも検討しているようだ。NFC決済の商用化については、スマートフォンが本格的に普及してからであると考えている。同社では今後もNFC関連のビジネスの研究を続け、将来的な実ビジネスにつなげる方針だ。
外海氏は最後に、「クレジットカード決済は、成長の余力はありますが、まだまだ国内では現金決済が主流です。そこを切り崩していくためには携帯や非接触技術を使って、現金からシフトさせることが必要だと考えています。その方法を業界の関係者と一緒になって考え、提携先企業のニーズに応えていきたいです。NFCケータイを利用することで、現金のハンドリングコストの減少、スピーディーな決済により顧客の利便性を高めることができるシステムを構築していきたい」と語ってくれた。