2011年12月20日8:00
KDDIと共同でTypeAベースの「nanacoモバイル」実証実験を実施
現行のインフラに加え、NFCによるサービスの広がりに期待
セブン・カードサービス
セブン&アイ・ホールディングスグループのセブン・カードサービスでは、2010年にKDDIの実証実験に参加した。同社ではこれまで、FeliCaベースの決済手段として「nanaco」を提供していたが、TypeA/Bベースの手段に関しては提供していなかった。
実験では、KDDIと協力し、TypeAベースで「nanacoモバイル」の発行を行った。検証自体は短期間で終了し、読み取り自体も問題なく行うことができたが、検証までの準備期間が1年近くかかったそうだ。実験では、TypeAの環境でカードの発行、チャージの実施、退会の処理などが行われた。
「実験の開始前は、FeliCaのコストがTypeAになることで、どの程度安価になるのかを考えましたが、その点についてはソニーさんも企業努力を重ねており、来年、再来年になるにつれ、徐々に差がなくなると思います。むしろ、nanacoの場合は、カード会員の比率が多く、これまでケータイでの利用は決して多くはありませんでしたが、TypeAを利用することでどう変わるのかを検討しました」(セブン・カードサービス 執行役員 電子マネー開発部担当 磯邊俊宏氏)
同社では、現在、nanacoを従来の携帯電話やAndrid搭載スマートフォンで利用できる「nanacoモバイル」をリリースしているが、システムの運用費用に関しては高コストとなっており、決して費用対効果は高くないとしている。例え、TypeAなどをベースとした決済を採用しても、「Androidの場合は、バージョンアップがコマ目にありますので、TypeAだからといって投資コストが極端に下がるということはない」(磯邊氏)と考えている。あくまでも実用化に向けては、ユーザーの利便性も含め、広がりがどこまで出るかを考えていく方針だ。
特に最近では、売り上げの情報をサーバ側で保管するシンクライアント型のシステムも登場しており、同システムが普及した際には、スマートポスターやクーポンなどといった決済以外の付加サービスを加えることが可能となる。
セブン・カードサービスでは、将来的には、NFCのインフラは広がると考えており、いち早く実験を実施した経験は今後に生かされるとしている。ただし、国内ではFeliCaのインフラが普及しており、nanaco自身も同インフラを利用しているため、現行のシステムは継続し、さらに事業展開を広げていく選択肢としてTypeAなどを検討していきたいとしている。