2012年1月23日8:00
日本初のネットショッピング専用のVisaプリペイドを発行
クレジットカードと相乗効果を生む商品として展開を強化
ライフカードは、2011年6月30日から、日本初となるネットショッピング専用のVisaプリペイド「Vプリカ(V-PreC@)」を販売している。クレジットカードのように本人確認や審査がなく発行でき3-Dセキュアへの対応や、セキュリティロック機能など、セキュリティ機能も強化している。同社では、決済手段の拡充や、友人や家族などにプレゼントできる「Vプリカギフト(V-PreC@ Gift)」の発行など、利用者の声を参考に機能の拡充を行っている。
ライフカード
クレジットカード以外のEC決済比率である約40%を開拓へ
オンラインであれば原則世界中のVisa加盟店で利用可能
ライフカードでは従来、提携カードの発行やキャッシング収益などでビジネスを拡大してきたが、法改正などの影響で、クレジットカード業界を取り巻く環境は激変し、ビジネスの再構築を求められた。
「法改正の影響により、弊社でもクレジットカード事業において提携カードからプロパーカード中心になっており、クレジットカードと相乗効果を生む商品開発や、新規開拓を行う中で、市場が拡大するインターネット決済に着目したことが『Vプリカ(V-PreC@)』発行の動機づけとなりました」(ライフカード 営業本部営業二部長 下條尚氏)
オンラインゲームを中心に、WebMoneyやBitCashといったネットワーク型電子マネーの利用は伸びているものの「インターネット決済全体の割合からみるとプリペイドカードの利用はまだまだ限定的です」と下條氏は説明する。現状、インターネット決済のうちクレジットカードの利用は60%程度で、残りの40%はコンビニ決済や代引きなどが多いため、その市場をプリペイドカードで開拓していく方針だ。
一方、リアルの市場はインターネットよりも大きいことは確かだが、発行コストや薄利な手数料、インフラ面など、プリペイドを展開するうえで超えなければならない課題が多く、バーチャル環境であるインターネット決済から取り組むこととなった。
同社では、2011年6月30日から、Vプリカの発売を開始しているが、「世界中のVisaのインターネット加盟店で利用できる点に関しては利用者からも高い評価をいただきました」と、下條氏は自信を見せる。他社のクレジットカードに関しては、チャージごとに手数料が必要となるが、ライフカードの場合は無料になるメリットがあるため、自社カードの入会促進にもつながる期待があったそうだ。
コンビニ支払とインターネットバンキング支払の追加で
プリペイドにチャージする主要な決済手段は整う
しかし、Vプリカ購入の希望者は、3-Dセキュア対応のVisa、MasterCardのクレジットカードが必要となったため、「購入に関しては制約があったのも事実」(下條氏)である。下條氏は、「お客様の要望として、クレジットカード以外からのチャージやギフトとしてプレゼントしたいという声をいただいたため、第2、第3の施策として、決済手段の追加、ギフトとしてプレゼントできる『Vプリカギフト(V-PreC@ Gift)』を開始しました」と話す。
同社では、2011年11月29日から、Vプリカの購入決済方法に「コンビニ支払」「インターネットバンキング支払(Pay-easy)」を追加。これまでは、「クレジットカードからチャージすることで匿名性が担保されないのでは、という懸念もお客様の中にはあったと思います」とライフカード 営業二部 カード企画推進課 課長 奈良輪一成氏は分析するが、「プリペイドにチャージする主要な購入手段は整い、利用の増加につながる」と期待する。
また、当初は海外などの不安を感じるサイトで利用するのではないか、と想定していたそうだが、これまでのVプリカの利用はクレジットカードのインターネット決済とそれほど変わらない購買傾向となっている。Amazonや楽天など、大手ショッピングモールでの利用も多い。同社では今後、コンビニ決済や銀行振り込みの利用が増えることで、購買動向も変化するのではないかと予想している。
また、2011年12月16日から開始したVプリカギフトでは、贈り手がカードを選んでメールを送信することにより、500円からプレゼントすることができる。また、企業のインセンティブ用途として、取引先やエンドユーザーなどに一斉にギフトを贈ることも可能だ。カードをプレゼントされた人は、全世界のVisaインターネット加盟店で利用できるため、「そういった方々が良さを知って頂きリピーターになって頂ければ、新たなユーザー層を開拓できる」と同社では考える。
想像以上に高額券種の購入者が多い
手数料の高さは「利便性」「セキュリティ」の強みで克服へ
現状、ブランドデビットは、デビットカードと同様に公共料金などの月額課金では利用できない箇所はあるが、当初から利用者に告知することで、問題は発生していないそうだ。
利用者の属性に関しては、「自己申告制になりますが、20代、30代の方が多いです。Vプリカの購入単価は8,000円から1万円となっており、想像以上に高額券種を購入する人が多いです」とライフカード 営業二部 カード企画推進課 尹晟豪氏は説明する。
なお、チャージごとにかかる手数料については、「セキュリティの担保や利便性を提供していることをご評価いただいていますが、お客様からもう少し引き下げてほしいとの要望があるのは事実です。今後企業努力として更に引き下げできるようにする方針です」と下條氏は話す(2012年1月10日購入手続き分から5000円以上の購入券種の手数料を200円に引き下げ)。なお、ライフカード会員は、購入時に手数料がかからないため、そのメリットを今後も訴求していく方針だ。
実際、同仕組みではセキュリティを重視しており、カードを利用しないときはカード機能をロックすることが可能である。表示されるカード番号も非表示となっており、「一度機能を利用していただければ、お客様にVプリカの良さをご理解いただける」と下條氏は話す。
収益性については、「システムの初期投資にはそれなりにコストがかかっていますが、シミュレーション通りにいけば、それほど遠くはない年数で回収できると感じています」と下條氏は自信を見せる。同社でもVプリカの仕組みは発展途上だと感じており、「お客様の声を反映して次の施策を考えていきたい」(下條氏)としている。