2012年1月30日8:00
海外専用のVisaプリペイドカード「NEO MONEY」を発行
渡航者の決済金額の約4割を占める現金市場を開拓へ
クレディセゾンは、2011年8月から、旅行・出張・留学などの海外渡航者向けに磁気ストライプ付Visaプリペイドカード「NEO MONEY(ネオ・マネー)」の発行を行っている。現在、海外渡航者の現地消費額の約4割が現金決済となっているが、同社では海外専用のプリペイドカード発行により、非現金化を促進させる狙いだ。
クレディセゾン
国内のカード会社で初めて「資金移動業者」に登録
旅行会社と提携し、海外渡航者にPR
クレディセゾンでは、2010年8月から、ユニクロと提携しユニクロ・ジーユーオンラインストアで利用できる「ユニクロオンラインギフトカード」の発行を開始。2011年5月30日には、国内のカード会社で初めて「資金移動業者」に登録し、2011年8月16日より磁気ストライプ付Visaプリペイドカード「NEO MONEY(ネオ・マネー)」の発行をスタートしている。
「海外専用のプリペイドカードは、資金移動業への足がかりと、海外渡航者の現金市場を取り組む市場開拓の観点がマッチングしたため、プリペイドのプロパーカードとして最初に取り組む最適な商品であると考え、発行を開始しました」(クレディセゾン カード事業部 営業企画部 商品・サービス開発グループ 課長 吉中 慎氏)
クレディセゾンの調査によると、海外渡航者は一回の旅行で平均約15万円の金額を使用しているが、そのうち6~7万円が現金となっている。クレジットカードは現状、全体の6割程度しか利用されていない。そのため、残りの4割の市場をNEO MONEYで開拓していきたいとしている。
同カードの入金額の上限は100万円で、16歳以上の国内居住者であれば基本的に誰でも申し込むことができる。申し込みはインターネットに加え、西友の全国33店舗のセゾンカウンターで即時発行も可能だ。
「最近の取り組みとしては、NEO MONEYの利用促進に向け、旅行会社と提携し、海外渡航者への紹介を行っていただいています。また、クレディセゾンの会員の中にも海外渡航者は数百万人いるため、NEO MONEYの利用を勧めています。『海外プリペイドカード』は、商品認知がまだまだ低いので、サービス内容やお得なポイントをきちんと説明し、ご理解いただく地道な活動が重要だと考えています」(吉中氏)
海外200カ国以上のATMで現地通貨の引き出しが可能
ショッピング、ATM引き出しの利用金額の4%がセゾンの収益
NEO MONEY発行時の手数料としては、まずカードの発行手数料が525円かかる。また、利用者のチャージ金額の1%が差し引かれる。利用時の手数料としては、海外のATMで現地通貨を引き出したり、残高照会を行った場合、200円を残高から減算する。また、海外サービス手数料として、海外でのショッピング、引き出しの利用金額の4%がクレディセゾンの収益となる。
カードを手にした利用者は、全国のセゾンATMや、セブン銀行ATMから同カードへの入金が可能だ。入金した金額は、海外200以上の国に設置した180万台のVisaまたはPLUSマークのあるATMから、現地通貨で引き出すことができる。また、海外のVisa加盟店でのショッピングに利用可能だ。吉中氏は、「日本で外貨両替していくよりも、ほとんどの通貨でお得であること、また海外出発前の忙しい時期にわざわざ銀行窓口や空港両替所に出向く必要がない点を訴求していきたいです」と意気込みを語る。同カードは入金額の範囲内でのみ利用できるため、使いすぎの心配がない。
なお、同カードを紛失した場合は、同社に届けられた時点の残高をクレディセゾンが補償し、長期間利用しないときなどは、Webサイトから同カードにロックをかけることも可能である。
現状、NEO MONEYは幅広い年齢に利用されているが、メインは20代の与信枠が低い人やクレジットカードを保持していない層が中心だ。また、時間や金銭的に余裕がある高齢層にも好評であるという。決して認知度は高いと言えないが、利用に関しては徐々に伸びてきているそうだ。
「当社としても認知度向上のために、わかりやすいツールの作成やSNSの活用など、告知活動に力を入れています」(吉中氏)
入金額の平均は、約10万円となっており、なかには上限金額の100万円をチャージする人もいるそうだ。
Visaブランドに加え、銀聯カードの追加も予定
60万人の利用者獲得を狙う
今後は、クレディセゾン会員向けに同社のポイントプログラム「永久不滅ポイント」を絡めた販促なども行っていく方針だ。また、現状はVisaブランドのカードのみを発行しているが、銀聯カードの追加も予定している。吉中氏は、「認知度向上に努め、まずは海外渡航者1,500万人のうちの60万人くらいを取り込んでいきたい」と目標を語る。
クレディセゾンはカード会社の中でもブランドプリペイドのへの取り組みが先行しているため、リアル店舗で利用できるプリペイドカードの発行も期待されるが、「Visaの努力もあり、国内のリアル店舗のインフラ問題は徐々に改善されつつありますので、今後プリペイド商品のラインナップ拡大を検討していきたい」と吉中氏は笑顔を見せる。
クレディセゾンでは、2013年までにプリペイドカードのプロセッシング事業などで取扱高1,000億円という高い目標を掲げているが、「ご入会・チャージ・ご利用といったお客様の動きやサイクル、顧客利便性やセキュリティ対応など、本分野での知見も徐々に蓄積されてきましたので、事業を進める上での材料が揃ってきました。今後は商品ラインナップやクライアント拡大推進とともに、利用環境の整備にも努めていく方針です」との姿勢を吉中氏は示した。