2012年2月15日8:00
FeliCa技術を応用して電気機器認証を行う「認証型コンセント」を開発
機器ごとの電力管理や電子決済にも対応可能
ソニーは、2012年2月14日に記者会見を開催し、非接触ICカード技術「FeliCa」を応用して、ユーザーが電力管理や電力制御をしながら利用できる「認証型コンセント」を開発したと発表した。今回、ソニーが発表した技術は、NFC/FeliCaを応用して電気機器認証を行う「認証型コンセント:FeliCaタイプ」と、「電力線重畳通信技術」により、電源ケーブルを介して電気機器認証を行う「認証型コンセント:電力線重畳通信タイプ」の2種類となる。
NFC/FeliCaにより挿すだけで機器認証が可能に
電力線重畳通信タイプも開発
「認証型コンセント」は、挿すだけで機器認証が可能なコンセントである。同技術には、ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa」を活用。電源プラグに非接触ICチップを搭載し、電源コンセントがリーダライタの役割を果たすことにより、両者の認証を実現する。
まず、FeliCaタイプの構成例としては、リーダライタチップおよびアンテナをコンセント側に設置し、FeliCaチップを電源プラグに搭載する。
特徴としては、全世界で5億個以上が出荷されているFeliCaのセキュアな技術を使用することによる信頼性が挙げられる。また、既存のFeliCaのICカード認証と互換性があるため、FeliCのインフラを利用した課金・決済、クーポンサービスなどの展開を見込めるという。コンセントのため、厳しい規制や安全規格が要求されるが、それに対応したレイアウトを実現しているそうだ。
一方、電力線重畳通信タイプは、電気機器と電源供給側との相互認証を可能とする技術である。通常、非接触ICカード技術では、ICチップとリーダーライタ間の通信をアンテナを介して無線で行うが、同技術では、それを物理的な電力線を経由して実施する。そのため、アンテナを使用しない認証データの通信が可能となり、リーダライタはラインの一カ所に設置するだけで複数の機器を認証できる。これにより、システム構築のローコスト化が実現。また、リーダライタとICチップの電力線の間に延長コードが挟まれても認証可能となり、設置の自由度が高いメリットもある。
今後、認証型コンセントが普及すれば、利用者は家電製品や電気自動車の所有者の認証、機器ごとの電力管理や利用、過去の電力利用履歴の記録の確認、電子マネーと組み合わせた電力課金・決済などが可能となる。
課金・決済を加えられる点が特徴
FeliCaのセキュアな技術を活用
今回の認証技術は「課金・決済が加えられる」点が特徴となり、「セキュアな技術として実績を誇るFeliCaの技術を活用することで皆さまの信用を買えるものではないか」とソニー 技術開発本部 新規事業創出部門 ホームエネルギーネットワーク事業開発部 部長 只野太郎氏は自信を見せる。
認証型コンセントは、普段は通電せず、利用時のみ機器認証を行い、100Vを流すことが可能なため、例えば異物を差し込んでも感電しない安全なコンセントを実現できるという。また、緊急度の低い機器のみ電源オフにすることで、住宅やビル丸ごとの停電を回避することが可能となる。
最近では、スマートフォンやタブレットの普及により、街中でのコンセント利用の要望が高まっているが、ユーザーや機器を認証することで利用者課金の仕組みが構築され、使いたい時に使いたい場所で使いたい量の電力を利用できるコンセントが普及する可能性があるという。
ソニーでは2年程前からさまざまな特許を出願しており、特に電力線重畳通信技術に関しては世界で唯一技術を有しているそうだ。実用化の時期は未定だが、同技術に賛同する機器メーカーや住居などの企業と協力し、製品・サービスに関わる技術・サービス仕様の策定を進めていきたいとしている。